MLBにみる年俸総額の違い 巨人は何故強くなれない 育成能力?

セ・リーグはヤクルトが独走し、オールスター前に大勢が決まってしまいそうです。ソフトバンクに次ぐ資金を年俸に使っているジャイアンツですが、ヤクルトに大差をつけられてしまっています。何故ジャイアンツは戦力強化が進まないのか、MLBと比較してみたいと思います。

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MLBの年俸総額比較

年俸に見合った成績上位チーム

年俸総額1位のドジャースは約262Mドルで、2014年以降はずっとトップの年俸総額です。昨年は地区優勝を逃してしまいましたが、2013年から2020年まで8年連続で地区優勝を遂げています。今年も7月4日現在で勝率.628で、トップを快走しています。ドジャースは年俸総額と結果が伴っている球団と言えるでしょう。

RANK TEAM WIN% 2022 Total Payroll 7/4順位
1 Los Angeles Dodgers 0.628 261,677,921 1
2 New York Mets 0.620 260,332,242 1
3 New York Yankees 0.725 250,412,428 1
4 Philadelphia Phillies 0.519 234,735,160 3
5 San Diego Padres 0.580 217,891,885 2
6 Boston Red Sox 0.557 202,822,683 2
7 Chicago White Sox 0.494 195,985,046 3
8 Los Angeles Angels 0.457 190,231,833 4
9 Atlanta Braves 0.575 179,690,395 2
10 Houston Astros 0.654 176,023,412 1
11 Toronto Blue Jays 0.550 172,668,209 3
12 St. Louis Cardinals 0.550 160,453,396 2
13 San Francisco Giants 0.519 154,977,560 3
14 Chicago Cubs 0.405 150,172,430 4
15 Texas Rangers 0.481 143,470,652 3
16 Minnesota Twins 0.549 137,870,333 1
17 Colorado Rockies 0.443 137,821,477 4
18 Detroit Tigers 0.390 137,081,607 4
19 Milwaukee Brewers 0.568 132,384,573 1
20 Washington Nationals 0.358 129,116,644 5
21 Cincinnati Reds 0.346 117,174,595 5
22 Seattle Mariners 0.481 107,682,702 2
23 Kansas City Royals 0.377 96,502,243 5
24 Tampa Bay Rays 0.544 88,832,642 4
25 Arizona Diamondbacks 0.443 86,764,294 5
26 Miami Marlins 0.481 83,271,731 4
27 Cleveland Guardians 0.526 69,120,963 2
28 Pittsburgh Pirates 0.405 69,072,021 3
29 Oakland Athletics 0.321 48,398,184 5
30 Baltimore Orioles 0.450 45,518,400 5

2位と3位のメッツとヤンキースもニューヨークを本拠地としており、資金力は豊富な球団です。両チームとも今年も好調で、ともに地区優勝ができそうな勢いです。特にヤンキースはライバルのレッドソックスに13.5ゲーム差をつけており、日本のセ・リーグのような情勢です。ライバルのレッドソックスが同地区にいるため、毎年のように地区優勝はできませんが、毎年のようにプレーオフに進出しており、投資に見合った成績と言って良いかもしれません。対象的にメッツはヤンキースほど成績を残せていません。しかし一時の低迷期を脱出してきており、2015年以来の地区優勝も見えてきています。

年俸総額が9位のエンジェルスの成績が上がらないのは、大谷翔平選手を応援するファンにとっては皮肉な結果です。監督が更迭されてしまうのも、当然の結果と言えるのでしょう。優勝争いをしているチームへのトレードも、現実味を帯びてきています。

大谷選手がプレーオフで活躍する姿も、見てみたいですね。

年俸の差が大きすぎる下位チーム

年俸総額が最下位のオリオールズは45Mドルと、1位のドジャースに5倍以上の差がついています。ブービーのアスレチックスも48Mドルと大差がなく、ともに地区最下位に沈んでいます。オリオールズは首位ヤンキースと22ゲーム差、アスレチックスはアストロズに26.5ゲーム差と年俸総額とチーム順位の相関関係は十分に見られるようです。一部のスター選手が年俸を引き上げているという見方もされますが、それだけではない球団の体質が影響していると考えていいでしょう。

日本の年俸総額の差

日本は1位のソフトバンクが約62億円に対して、最下位のドラゴンズが約25億円なので、MLBほどの差はありません。資金力が豊富と言われるソフトバンクですが、年俸総額はMLBでは最下位を免れる程度です。1人で50億円を稼ぐ選手も存在するMLBのことを思えば、ソフトバンクとドラゴンズの差は主力選手一人分しか違わない計算になります。日本では年俸総額にそれほどの差はなく、またFA制度の機能不全や、MLBへのスター選手の流出により、資金力の差がMLBほど順位に相関しない傾向にあるのではないでしょうか。

育成が大切になる日本のプロ野球

残念な話ですが日本のプロ野球はMLBのマイナーリーグ化が、事実上始まってしまっています。本当の意味でのスター選手は自分の力を試すために、MLBへ移籍します。広島に戻ってくる秋山翔吾選手の今年のサラリーは8Mドルとされており、金額の差が開く一方です。今後は日本のプロ野球入団前から、将来的にMLBを目指すというアマチュア選手が増えてくるでしょう。

そうなってしまえば、日本でFA移籍するのは超一流の選手ではなく、FA後の活躍期間も限られた年数になる可能性は高くなります。今後もFAで戦力強化を目指すことは極めて難しく、若い選手を育成することが、日本のプロ野球ではチーム強化の本筋ということになるでしょう。

巨人の戦略変更

FAが機能していた時は巨人のFAによるチーム強化が、効果を発揮していました。しかし、育成面をおろそかにしていたツケは、広島や西武などFAに参入しなかったチームと較べてみれば明らかです。巨人もここ数年はFAの機能不全に気づいたようで、スカウト網の増強やファームでの育成に力を入れ始めました。巨人は比較的資金が豊富な球団なので、スカウトの増員やファーム施設の改装など、ハード面での投資が相次いでいます。しかしお金では買うことのできないソフト面を、充実させるのは時間がかかります。長らく力を注いでこなかったところなので、すぐに追いつく事は難しいでしょう。ただ、正しい方向に進み始めたことは確かであり、ファンとしては楽しみが増えてきました。

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