若手が伸びない球団の原因は何か 当たり前な理由 学生野球に答あり

プロ野球も5月に入り、各球団の差が顕著になってきました。日本球界の場合はFAが機能していない状況なので、有望な若手の獲得と育成が強いチームを作る鍵となってきています。昨シーズン同様若手の台頭が、順位に直結するシーズンになりそうです。

FAが機能しない理由

日本ではFA宣言というMLBには無い制度があります。権利を得た選手が権利を行使する旨を宣言するということなのですが、極めて日本的な考え方です。MLBの場合は一定条件をクリアすれば、すべての選手がFAに自動的になるので、選手は権利の恩恵を得やすくなります。しかし日本の場合はFA宣言というステップがあるので、FA移籍をネガティブに捉えがちな雰囲気が醸成されて、FAを行使する選手が極めて少なくなっています。権利の取得の条件もMLBよりも格段に厳しく、行使もハードルが高いとなれば、一部のスター選手や、球団と何らかの問題を抱えている選手ぐらいしか使うことが少なくなります。

極めて日本的なNPBのFA

日米のFA制度の差は、日米の一般社会の差と相似形であると言えるのではないでしょうか。NPBの権利を取得した主力選手が、FA権利を行使することなく球団に残れば、引退間近や引退後の処遇に有利に働くことが多いようです。球団によってはFAを行使したことにより、明らかにFAを行使しなかった選手と引退後の関係が変わってくることがあるようです。FAも導入当初は活発に使われていましたが、現状では非常に使いにくい制度になっています。

スター選手の米国流出

大谷翔平選手や鈴木誠也選手の例を見るまでもなく、NPBで飛び抜けた成績を上げた選手はMLBへの移籍を目指します。MLBでの活躍を夢として見る事が出来ると同時に、サラリーの日米差が拡大しており、金銭的にもMLBへの移籍は魅力的になっています。少し前であればFAによる日本の他球団への移籍が、飛び抜けたスター選手の落ち着き先でしたが、今はMLBへの移籍のハードルが下がっています。

若手育成が必須のNPB

このような状況では若手の育成を次々と遂げなければ、成績を上げることは出来ません。また、主力選手の入れ替わりが激しくなり、若手の育成には一定の時間が必要となるために、常に優勝を狙うということが難しくなっていきます。常に優勝を狙う巨人のようなチームは、選手の入れ替わりに若手の育成が間に合わず、結果的に若手の台頭が阻害される結果になりがちです。

新戦力が台頭するチーム

広島は今年鈴木誠也選手をMLBに放出しました。全日本の4番であり、極めて大きな戦力ダウンでした。しかし広島は現在2位を走っており、チーム打率はセ・リーグ断トツの.261です。打率.323でセ・リーグ3位の西川龍馬選手は、2015年のドラフト5位で獲得した選手です。打率.317で4位の坂倉将吾選手は、2016年のドラフト4位で獲得した選手です。この様に広島の場合は過去からFA流出が続いたチームですが、必ずと行っていいほど若手が台頭してきます。その原因は球団の姿勢と環境作り、そしてその環境が支える猛練習しかないでしょう。

学生野球の猛練習

高校野球も大学野球も卒業があるために、自動的に選手が入れ替わっていきます。そのため常に強いチームを作るためには、確かなリクルートと猛練習が必要になります。若い選手たちですので、猛練習を課すことは難しいかもしれませんが、環境を作ることによって可能になるようです。大学野球では亜細亜大学が猛練習で有名です。現在のNPBにも明治大学に継ぐ人数の選手を送り出しています。亜細亜大学の野球部は東京都にありますが、西多摩郡の山奥にあり、都会とはいえない環境です。都心にあるチームでは、合コン等一般学生と同等の誘惑がありますが、亜細亜大学野球部のロケーションでは確実に誘惑の機会は少なくなります。野球に打ち込む環境が整っているといえます。同じようなことは高校野球でも起こります。強豪校では練習に打ち込むことが出来る環境が整っている場合が多く、少なくない例を見ることが出来ます。プロ野球で初年度から活躍する選手の場合、”プロ野球の練習の方が軽かった”とコメントしているのを何度か確認しています。

人気球団の環境は甘い?

ジャイアンツも原監督は練習熱心な選手を積極的に獲得し重用するのですが、みな1軍の選手です。大切な事はファームの選手が、厳しい練習を当然のこととして受け入れることが出来る練習環境を、球団が作れているかではないでしょうか。昨年まで阿部二軍監督が厳しいと批判されることがありましたが、そんな事がパワハラなどと報道されてしまうジャイアンツのファームの環境が、選手の成長を妨げているかもしれません。他の球団ではファームで罰走させたことが記事にはなかなかなりません。

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