甲子園のスターは良い意味でも悪い意味でも注目度が高くなります。中日の根尾昂選手は2018年のドラフトで4球団競合の末、中日ドラゴンズに入団しました。当初マスコミやファンからは大谷翔平選手の成功から、根尾選手に二刀流を望む声もありましたが、根尾選手本人は入団前からその可能性を否定し、遊撃手に専念するとクレバーさを披露する部分もありました。
甲子園での活躍
甲子園に4回出場し春夏連覇を成し遂げた大阪桐蔭で、投手と遊撃手という花形ポジションで二刀流を披露した根尾昂選手は、間違いなく世代NO1のスターです。通算打率は.371と素晴らしい成績で、3年夏には3本塁打も記録しました。これだけの成績に頭脳的にもクレバーさが認められた根尾選手は、野球ファンの注目の的となりました。
打数 | 安打 | 打点 | 四死球 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | |
2年春 | 19 | 4 | 4 | 0 | 0 | 1 | 0.211 |
2年夏 | 12 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0.333 |
3年春 | 18 | 9 | 8 | 5 | 0 | 0 | 0.500 |
3年夏 | 21 | 9 | 5 | 6 | 3 | 0 | 0.429 |
甲子園通算 | 70 | 26 | 20 | 11 | 3 | 1 | 0.371 |
周囲の期待が大きすぎる
名前 | 根尾昴(ねお あきら) |
投打 | 右投げ左打ち |
ポジション | 外野手 |
出身地 | 岐阜県飛騨市 |
生年月日 | 2000年4月19日 |
身長 | 177cm |
体重 | 82Kg |
経歴 | 古川西クラブ(飛騨市立河合小学校) |
飛騨高山ボーイズ(飛騨市立古川中学校) | |
大阪桐蔭高校 | |
中日ドラゴンズ(ドラフト1位) |
根尾選手は決して大柄な選手ではありません。3年夏に甲子園で3本塁打を記録していますので、パンチ力も期待されますが。高校生は金属バットを使っていたこともあり、大柄とはいえない根尾選手の3本塁打は割り引いてみなければなりません。2019年のプロフィールでは体重が80Kgとされていますが、今年は82Kgで長打を求めたというよりは、遊撃手としての俊敏性を優先して強化してきたのではないでしょうか。今年は外野手として登録されましたが、長打力が期待できず、盗塁も多くを記録していない根尾選手は競争の中で出番が期待できなくなってしまいました。根尾選手に短期目線で長打力を求めるのは、現状では無理ということなのでしょう。
立浪和義監督の方針転換の早さ
立浪監督は根尾選手の外野手としての守備力が遊撃手よりも期待できるとして、打力を活かす意図もあり、外野手として育てる方針を立てましたが、若手外野手との競争の中で根尾選手の出番を与えることができなくなり、2軍合流とショートへの再コンバートを発表しました。あまりに早い方針転換に批判的なコメントもありますが、本人の希望もあり再コンバートしたことは、英断であったのではないかと思います。
年度 | 打席 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 犠打 | 四球 | 三振 | 打率 | 長打率 | 出塁率 |
2019 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.000 | 0.000 | 0.000 |
2020 | 25 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 7 | 0.087 | 0.087 | 0.160 |
2021 | 188 | 30 | 1 | 16 | 0 | 1 | 15 | 53 | 0.178 | 0.231 | 0.251 |
2022 | 10 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0.143 | 0.143 | 0.400 |
通算 | 225 | 33 | 1 | 16 | 0 | 1 | 20 | 63 | 0.164 | 0.209 | 0.246 |
ショートとしての守備力強化が最優先
昨年まで貧打にあえいでいた中日ドラゴンズですが、今年のチーム打率は.258で12球団トップです。打力を活かすために外野手登録した根尾選手ですが、長打力が期待できず出番が少なくなってしまいました。こうなると根尾選手の体格や素質からショートへの再コンバートは、最適解であるのではないでしょうか。外野手であれば一定の守備力が認められた根尾選手ですが、ショートでの守備力は求められるものが高く、立浪監督の眼鏡にかなうまではかなり時間がかかるかもしれません。しかしショートは守る質が高ければ、打撃は多くを求められないポジションです。ドラゴンズの京田陽太選手も打率.167で苦しんでいます。ショートの守備力に拘りがあると思われる立浪監督の要求レベルに守備力が達しているのは、京田選手の他にいないのかもしれません。
ショートへの再コンバートで課題が守備と打撃に再び増えてしまいましたが、まずは守備力を徹底強化し京田選手と比肩できるほどの実力をつけることが、1軍合流の近道ではないでしょうか。
立浪監督の判断
ショートをプロの世界で守ることが出来る選手は、数少ない才能を持った選手です。アマチュアでショートを守っていた選手でも、プロではショートを守ることができなかった選手は数多くいます。内野のスペシャリストであった立浪監督が再コンバートを命じたとあれば、鍛えれば数少ない才能が花開く可能性があるということです。
高卒4年目の根尾選手は進学していれば大学4年生で、京田選手は入団していません。今年2軍で徹底的にショートの守備を作り上げれば、堂々大卒でのドラフト1位の価値はあると思います。焦らずじっくり基礎から守備を鍛えてもらいたいと思います。