カリフォルニア州のオリンピッククラブで行われた全米女子オープンで、畑岡奈紗選手とのプレーオフの末、笹生優花選手が優勝した。優勝賞金は100万ドル。笹生選手は今後10年間の同大会の出場資格と、5年間の他メジャー大会への出場資格を獲得し、大会最年少優勝記録に並んだ。
すべてが凄い笹生選手
圧巻の飛距離
身長は166cmとそれほど高くないが、アメリカでも話題となっているマキロイそっくりのフォームから繰り出すドライバーショットは、男子プロ顔負けの飛距離を誇っている。今大会では深いラフを避けるため、フェアウェイキープをファーストプライオリティーにして、飛距離を求めていないようだったが、それでもそのポテンシャルは際立っていた。また高い弾道からのフェードや、ストレートに近いドローを打ち分けられるのも大きな強みだ。今日も中盤にティーショットが乱れ始めた時に、飛距離を抑えたフェードで調子を整えていたのが印象的だった。
アイアンショットの切れ
今日のキャップに「刀」と刺繍されていたのが象徴するようなアイアンの切れ味だ。持ち前のパワーは勿論だが、クラブを立てて使えるので深いラフも物ともしない。殆どの選手が苦労するほどの深いラフ撃ち抜いて、グリーンを狙うことができたのが大きな勝因だと思われる。やはり海外のタフなコースを攻略するためには、上から捉えることができるアイアンが必須だということが証明された。精度の高いフェードを打てなければ、ゲームメイクが極めて難しくなる。
グリーン周りの上手さ
これは師匠のジャンボさん譲りなのか練習環境に恵まれているのか、バンカーショットやアプローチがとても上手い。上げたり転がしたりと、技のバリエーションが豊富で、難しいところからも簡単に寄せてしまうように見える。ピンチだと思ってみていても難なく脱出してしまうので、余程の練習を重ねているのだろう。きっと小技が好きなんだろうなと想像してしまう。
精神的な強さ
プレーが速く淡々としているので、精神力が強く見える。これは一緒に廻っている相手にもプレッシャーを与えることができる。失敗するときは慎重さが足りないように見えてしまうが、これは持ち味だろう。今日もプレーオフとなってからはその精神的な強さが、畑岡選手にプレッシャーを与えていたのではないかと想像する。
兎に角これからもますます期待できるプレイヤーだ。
またも2位の畑岡選手
今日は素晴らしい追い上げで、プレーオフまで持ち込んだ。小柄なのに飛距離がでる。そしてこの選手もアイアンを縦に入れることができるので、深いラフを上手く攻略していた。プレーオフでは深いラフからのセカンドを、見事にリカバリーしていたのが印象的だ。フェアウェーをヒットしてチャンスと思われたホールで、笹生選手のラフからのセカンドで逆転されてしまい皮肉な結果となってしまった。
レクシー・トンプソンの素晴らしさ
最終日に崩れてしまったが、その立ち振舞は素晴らしかった。メジャーで1勝は挙げているが、18年のANAインスプレーションでは、3日目のペナルティーを最終日のプレー中に宣告されて涙を流して優勝を逃すなど、応援するファンは多い。調子が上がらない中でも笑顔を見せてプレーする姿は、感動的でさえあった。最後のパットを打ちきれずに敗退したが、まだ26歳。故障さえしなければまたチャンスは来るはず。
その時争っているのが日本の選手でなければ、今度こそ絶対に応援します・・・