トラックマンはもう常識
プロ野球界も革新が続いている。トラックマンによる球速や回転数、回転の傾きなどの分析は投手の技術向上に大きく貢献している。ゴルフ界でもトラックマンによる打球の分析はアマチュアレベルにも普及してきており、比較的安価に打球分析ができるようになってきた。
しかし、技術革新のスピードは凄まじく、ヤクルトが昨季から導入した「ホークアイ」は打球や投球だけを分析するのではなく、選手の動きをカメラで多方向から捉え、投球動作等を細かく分析できるようだ。投手のリリースの際の位置をデータ化して解析することが可能で、今までの指導者との試行錯誤の末の取り組みを、短略化できるようだ。ゴルフスイングについても最近の技術革新は素晴らしく、多方向のカメラによる動作解析は今や技術指導の基本となってきている。ゴルフの場合はクラブの差はあれ、基本的にはスイング動作だけだが、野球の場合は走攻守で活用できる場面が増え、これからプロ野球はもとより、アマチュア野球にも急速に普及していくことが予想される。
西武でもブルペン用のデータ測定器「ラプソード」を常設し、平良海馬投手はスライダーの曲がり幅を把握している。従来はブルペンコーチが行ってきた役割の一部を、測定器が行ってくれるということになる。しかも数値とその積み重ねによって行われる解析は、信頼度が極めて高く、若い世代にはこの上ない味方になるといえるだろう。
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従来のコーチは技術的な部分の知識の蓄積と、技術向上のための練習方法がそのコーチの財産だった。名伯楽と言われるコーチは、選手の欠点を見抜きその選手にあった練習によって技術を向上させるという役割があった。しかしデータ化の流れが加速することによって、動作解析が正しく行われ、選手の骨格や筋力を正しく分析することになり、最適解があっという間に見いだされることになってしまうのではないだろうか。コーチと二人三脚で試行錯誤をする過程が、短縮化される可能性は高い。
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これからのコーチの役割
投球や打撃の動作解析はますます進み、コーチの役割は大きく変わると思われる。厳しい練習に伴走するパートナーの様な役割が、一層大きくなるのではないだろうか。モチベーターとしての役割に、比重が大きくなる可能性が高いだろう。また、ノックなどの必要性は今後も打球判断などには重要であり、機械では代替できない部分だろう。更には走塁や試合運びなどについての教育は、まだまだコーチングが必要な部分となるだろう。
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アマチュア野球の発展
この流れはアマチュア野球の発展につながるだろう。プロのコーチに頼ることなく、技術的な部分の最適解が得られるようになれば、選手の成熟するスピードは上がると推測できる。他のスポーツが弱年令化しているように、野球も技術的な部分の成長のスピードが上がることは間違いないのではないだろうか。
コーチが余る時代がやってくる?
野球界にもいよいよAIの波が押し寄せてきた。今までプロ野球出身のコーチには、ある程度の付加価値があった。しかし技術的な部分での価値が相対的に落ちた時に、アマチュア球界に受け入れられるプロ野球出身のコーチは少なくなる流れになるかもしれない。モチベーターとしてのコーチであれば、アマチュア野球界やその他のスポーツ界にもたくさん存在することは、間違いのない事実だと思う。デジタル機器を活用してデータを集積し、選手にあった指導をできるようになるコーチが、これからは増えてくるかもしれない。
擬音で指導していたようなコーチングは、無くなってしまうかもしれないですね。それはそれで味気ない気もします。
高校野球で160kmを投げることができる投手も、もうすぐ出現しそうですね。