ついに残り13試合で、首位ヤクルトと7.5ゲーム差となった。マッチレースでもかなり難しい数字だが、三つ巴ではほぼ不可能な数字だろう。いや、むしろ阪神とヤクルトとのマッチレースであることは、誰の目から見ても明らかだ。しかしファンの手前なのか、終戦宣言は出来ない。心あるファンは投手の故障などを心配して、中5日のローテーションの撤廃を望んでいるが、諦めない姿勢を見せるためかまだ続くようだ。まだチケットを持っているファンのためならば聞こえは良いが、理由はそれだけではないだろう。
マスコミが親企業の難しさ
新聞社とテレビ局を親企業グループに持つ巨人は、簡単には終戦を宣言できない。
一般紙の発行部数が落ち込んでおり、数年後には全国紙で生き残れるのは読売だけという話も聞くが、スポーツ紙の落ち込みは更に激しい状況だ。
やっぱりケーブルテレビが安心?今なら最大79,200円相当貰えるJ:COM合計 | 一般紙 | スポーツ紙 | 世帯あたり部数 | 世帯数 | |
2020年 | 35,091,944 | 32,454,796 | 2,637,148 | 0.61 | 57,380,526 |
2019年 | 37,811,248 | 34,877,964 | 2,933,284 | 0.66 | 56,996,515 |
2018年 | 39,901,576 | 36,823,021 | 3,078,555 | 0.7 | 56,613,999 |
2017年 | 42,128,189 | 38,763,641 | 3,364,548 | 0.75 | 56,221,568 |
2016年 | 43,276,147 | 39,821,106 | 3,455,041 | 0.78 | 55,811,969 |
2015年 | 44,246,688 | 40,691,869 | 3,554,819 | 0.8 | 55,364,197 |
2014年 | 45,362,672 | 41,687,125 | 3,675,547 | 0.83 | 54,952,108 |
2013年 | 46,999,468 | 43,126,352 | 3,873,116 | 0.86 | 54,594,744 |
2012年 | 47,777,913 | 43,723,161 | 4,054,752 | 0.88 | 54,171,475 |
2011年 | 48,345,304 | 44,091,335 | 4,253,969 | 0.9 | 53,549,522 |
2010年 | 49,321,840 | 44,906,720 | 4,415,120 | 0.92 | 53,362,801 |
スポーツ紙は業界全体で2010年に約441万部あった発行部数が、263万部に減ってしまった。10年間で約40%の激減だ。一般紙は約28%減なので事態はより深刻だ。テレビ局の視聴率も低下が続き、広告料も2019年にネットに抜かれて低下が続いている。
当然巨人の敗退は報知新聞の売上やテレビの視聴率に影響するので、親会社の意向を考えればペナントを諦めたなどとは発言できないし、中5日のローテーションをやめることも難しいのかもしれない。
暗く見えるベンチ内の様子
ヤクルトのベンチはお祭り騒ぎで、雰囲気が最高だ。巨人のワッショイベースボールは不発だったが、東京音頭は秋になっても鳴り止まない。劣勢の時も若き4番の村上宗隆が、中心となって声を張り上げている。村上選手は闘志が表に出るタイプで、守備でも塁上でも声が出ていて、まさにチームリーダーだ。
対象的に巨人ベンチは、雰囲気が悪く見える。成績が悪くなれば暗くなるのは必然だが、それでもリーダーが愚直に声を上げなければならない。首脳陣が諦めていないと発言している限り、同じ熱量でベンチが応えなければならないが、選手たちの表情は暗く見えてしまう。巨人ベンチを取り巻く不条理な雰囲気の原因が何なのかは、外部からはわからないが、1つや2つでは無さそうだ。
後半戦が始まり、ワッショイベースを掲げた当たりから負けが混んできた。
途端に選手たちの表情が曇りだしたように見えてしまう。
ファンが望む巨人軍
巨人というチームは、常勝を義務付けられたように報道される。
戦力均衡を旨としたドラフト開始以降も、潤沢な資金でFA選手や現役大リーガーを獲得して戦力を整えてきた。そのため育成が疎かになり、他球団のファンやコアな巨人ファンから批判を浴びてきた。しかしその批判も、勝ち続けることでかわしてきた。逆に言えばそこまでやって勝てなければ、とても恰好悪いのだ。そうなればコアなファン以外は、離れていってしまう。それを避けるため長期的にチームのためになる、若手の育成を疎かにして、即戦力の獲得に走る悪循環に陥ってしまっている。
本当に頼りになるのは生え抜きの選手だ。今日のスターティングメンバーも7人が生え抜きだ。しかし育成途中で中途半端にしか一軍で使われず、スタメンを張れるまでの時間が育成にかけられない選手が多い。今年なんとか一本立ちしそうな松原聖弥選手も、外国人が次々と帰国し、梶谷隆幸選手が怪我したために長期的に出場することが出来て今の成績を残している。通常であればベンチを温めて、伸び盛りの大切な時期に出場機会を逃して、中途半端な選手になってしまう危険性が高かった。戸郷翔征投手9勝目 打線が13得点 松原聖弥選手規定打席到達へ
松原聖弥選手は何故レギュラーに定着できない その理由。巨人スコット・ハイネマン選手獲得
ファンが望むチームの育成と、親会社が望むチーム像との差が大きく、勝つことでそのギャップを必死に埋めてきたのがジャイアンツの歴史かもしれない。
これからの巨人軍
今の時代に常勝なんて無理だろう。ヤンキースでも常勝なんて無理だ。
そのうえ巨人の資金力にも、翳りが見えてきている。
このまま負けが続けば、恰好悪い球団になってしまう。
いちばん大切なファンが離れてしまうのが、恐ろしい。
選手たちの雰囲気にも、微妙にファンの気持が伝わっているのではないだろうか。
ここまでなりふり構わず補強したのに、勝てなければベンチの雰囲気も暗くなる・・・
マスコミの情報操作の限界
以前のように情報を操作して、巨人をベビーフェースに仕立て上げるのは無理がある。
中田翔選手の件をいくら美談に仕立て上げようとしても、今の時代は難しい。
小林誠司捕手の打率を表示しない読売系の放送も、情報を操作されたようで暗いものを感じてしまう。フジは通常の字幕での表示の他にも、打率.101の電光掲示板を大写しにしていた。
いまのネット社会に通じている人たちは、ステルスマーケティング等の情報操作を嫌う。
中田選手の件はきちんと事情を公開出来ないのであれば、冷却期間が中田選手には必要だった。今は中田選手が追い込まれてしまっている。
小林捕手の打率も隠す必要はない。そんなことをすれば余計に小林捕手を、追い込んでしまう。選手は皆スポーツ精神に溢れており、正々堂々と勝負したいのだ。
ベンチの選手の雰囲気が明るく見えないのは、このあたりにあるのではないだろうか。考えすぎですかね・・・
決して暗い選手ばかりでは無いと思うのですが。
スポーツ報知や読売新聞だけを、巨人ファンは見ている時代ではないのだ。
これからのファンは今までの手法では維持できないことを、球団は考えて欲しい。
冒頭に上げた新聞部数の数字が、すべてを物語っていると思うのだ。