菅野投手が6回2失点と好投して6勝目はならなかったが、巨人の連敗脱出に貢献した。
打線は12安打を放ち、一時のどん底を脱出したように見える。好機で主軸の一本が出るようになれば、大量援護もできるようになるかもしれない。
菅野投手は復調したか
菅野投手の投球内容
防御率 | 投球回 | 打者 | 被安打 | 被本塁打 | 奪三振 | 与四球 | 与死球 | 失点 | 自責点 | 投球数 |
3.50 | 6 | 26 | 4 | 1 | 7 | 4 | 0 | 2 | 2 | 107 |
6回を107球でまとめて、菅野投手は勝利に大きく貢献した。菅野投手としてはめずらしく四球が4と多かった。コントロールがばらつく事が多く、甘い球や抜けて打者を仰け反らせることなどもあったが、かえって打者を踏み込ませること無く投球できたかもしれない。
今回はストレートが30%と少なめではあったが、球速は出ていた。カットボールは普段は多くても10%前後だが、今回は17%を超えており、復帰後の菅野投手の投球を支えている。
4回の失点は追い込んでからの決め球のフォークが落ちきらずにソト選手に拾われて、センター前に運ばれてしまった。
6回の佐野のホームランはフルカウントからの、バックドアのスライダーを逆方向に打たれた。直前にスライダーが抜けて、同じ球を甘めに入れたのはどうだったのだろうか・・・
菅野投手のフォークボール
菅野投手はスライダー狙いに来ている打者を打ち取るために、フォークボールを習得した。
プロ入り後すぐはあまり使わない変化球だったが、最近は多く使うようになってきた。上原浩治投手はスライダーピッチャーで入団し、プロ入り後にフォークボールを習得したが、スライダーが全く使えないボールになってしまった。
上原投手のフォークボールはコントロールが抜群で、左右に投げ分けることが出来、ストライクを取ることもできる抜けの良い、減速するフォークボールだった。
菅野投手のフォークボールは抜けがそこまで良くないので、空振りを取る時はワンバウンドのボール球が多い。今日ソト選手に痛打されたのはストライクのフォークボールで、変化量も少なく不調のソト選手にはお誂え向きの、打ち頃の球になってしまった。
スライダーもフォークも、一級品の決め球にできる投手は少ない。
大魔神佐々木主浩投手フォークは一級品だったが、スライダーは並だった。逆に中日の岩瀬仁紀投手のスライダーは消えると言われていたが、フォークは投げなかった。スライダーもフォークも一級品で決め球に出来たのは、記憶の限りでは槙原寛己投手だけだ。槙原投手はストレートも含めて全ての球種でストライクが取れて、全ての球種を決め球にできる投手だと野村克也さんに絶賛されていた。それほどスライダーとフォークを高いレベルで投げることは、変速モーションではない限り難しいのではないだろうか。
最近のスライダーとカットボール
復帰後の菅野投手を支えているのはカットボールだ。この日も投げミスの少ない球種となり、投球の幅を広げていたと思われる。復帰後は肘の位置を高くすることを心がけているのか、カットが使えるようになり、スライダーも以前よりも縦割れに曲がるようになっている。フォークを多く使うのも、肘が下がらなくなった事と、関係があるかもしれない。
引退する松坂大輔投手は故障などから肘が上がらないフォームとなり、晩年は苦しい投球が続いた。経年の疲労や故障から、肘を上げるフォームは苦しくなる傾向にあるようだ。また筋肉が付きすぎると、関節の可動域が狭くなり肘が下がる原因と言われている。具体的には肩甲骨の廻りに、筋肉が付きすぎることが原因らしい。松坂投手も菅野投手もプロ入り後に体を大きくしてきた経緯があり、これから晩年を迎える菅野投手も心配な傾向だ。
個人的には、36歳でなお綺麗な回転のストレートを投げることができる岸孝之投手のように、まだまだストレートで押せる投手でいてほしい。
キャッチャーの難しさ
小林誠司捕手のリード
酷評されることが多いが、それは何処のチームのキャッチャーも言われることだ。昨日も珍しく制球の定まらない菅野投手をよく引っ張った。
ツーストライク後に投げミスの少ない菅野投手に、大きく外す球を要求するのだけは、やめてほしいなぁ
阪神の梅野隆太郎捕手も酷評されていることがあるが、勝敗を背負わされることが多い日本のプロ野球では仕方のない傾向だ。しかしそういう認識をプロ野球界に与えた野村克也さんのおかげで捕手の重要性が高まり、何処の捕手も打率が低いのに先発で使われ、年俸も他の野手に比べて高いのは事実だ。プロ野球なので年俸がその選手の評価であり、胸を張って良いと思う。
ヤクルトの今の躍進は、中村悠平捕手が大きな要因と言われている。捕手で2割8分を超える打率は出色で、打って黙らせている部分もあるだろう。また、高校時代の2年間で中日の谷繁捕手や阪神の矢野捕手をテレビで研究し、そのノートが10冊を超えていたという話が伝えられており、リードの確かさに信憑性を与えていると思われる。
谷繁捕手は35歳から色々見えてくるようになった、とコメントしている。小林捕手はまだ32歳、努力を怠らないでほしい。
追い込まれた小林捕手と原監督
最近原監督は、小林捕手を打撃指導しているようだ。
原監督は自分で打撃指導した選手を、重用する傾向にある。指導に定評のある原監督なので、なにかが見えているのだろう。結果が出てくるまで辛抱強く使ってくれる。打率が1割を切りそうな危機にある小林捕手も、好機で打たせてもらっている最近だ。
しかし結果が出ないと選手にとっては辛い。好機を迎えて前向きにチャンスだと捉えられる時と、凡打を怖がって代打を出して欲しいと思ってしまう時は誰にでもあるだろう。昨日絶好のチャンスで凡退してしまった小林捕手は、かなり追い込まれている表情だった。
ある意味あの好機で代打を出さない原監督は非情だ。優しい監督ならば代打を出されて、小林捕手はホッとしたのではないか。
そして本当に怖いのは、原監督は辛抱して使った後に結果が出ない時は、切り捨てることができる監督でもあるということだ。
小林誠司捕手がこれから起用されるためには。巨人の正捕手問題。
小林捕手もそこが判っているから、凡打後のあの表情だったのかもしれない。
崖っぷちかもしれないです!
頑張ってください小林捕手!