トランプさんによる関税で、世界中が大混乱になっています。日経平均も4月7日の9時25分には30,792円をつけたようです。ただその後は落ち着きを少し取り戻し、前場は31,800円あたりまで戻してきています。今回の暴落は、通常の暴落とは違い、かなり前から噂されていたことであり、市場が織り込んでいなかったことが、個人的には少し驚きでもありました。また今回の暴落は、完全に政治というトランプさんというアメリカの大統領による人為的な要素で動いており、やめようと思えばすぐにでもできるという要素がある事に、特徴があるといえます。
混乱のど真ん中のトヨタ自動車
トヨタ自動車は今回の混乱の中のど真ん中の銘柄であり、一時9%以上も下げましたが、前場は5%ほどの下げ幅まで戻してきています。トランプさんに名指しされたように、トヨタ自動車は台数では106万台を輸出しており、数では1番の企業ですが、世界での販売台数は1,080万台で1割に届きません。他の自動車メーカーと比べても影響は実額では大きいかもしれませんが、体力的に影響は吸収できそうな数字です。
ホンダも42万台を輸出していますが、世界での販売台数は380万台で10%でなんとか吸収できそうです。ホンダの場合は二輪車の黒字があり、更に影響は軽微かもしれません。
株式市場でもトヨタとホンダは他の自動車メーカーよりも小さな下げ幅になっており、むしろ他の自動車メーカーのほうが深刻な影響があると考えられます。
さらに言えば今朝の日経新聞でトヨタの世界の生産体制やEVへの転換計画が報じられており、この下げ相場を見越してトヨタが日経新聞に記事を書かせたのではないかと邪推できます。(この件には政府筋も噛んでいるのかもしれません。)
前場の終わりを見るとむしろ金融機関や商社のほうが大きく下げており、流石トヨタと感じざるを得ませんでした。
トヨタは米国で大人気
トヨタのブランドイメージはアメリカでも非常に高く、若者からも支持されていると思います。日本車というと壊れないということが兎に角強調されますが、最近はブランドイメージが大変向上しており、かなり広い年齢層で、指示が広がっています。実際にテレビドラマでも数多く使われており、”SUITE”の中で主人公の敏腕弁護士ハーヴィーがレクサスLS460に乗っていたのはあまりにも有名です。
ホンダも米国ではアキュラというブランドを展開しており、私も乗っていたことがあります。(個人的にはスタイリッシュなアキュラは日本でも売れると思うので販売してほしいのですが、SUV全盛の環境下ではコストが合わないのかもしれません。)
日本でのドイツ車までは行かないと思いますが、ブランド戦略はかなり成功しているのではないでしょうか。
高くても日本車が売れるか
トランプ関税でアメリカ車は有利になると見られがちですが、基本的な性能では日本車は劣後する部分が少なく、燃費では日本車が有利な状況には変わりがないと思います。日本とは違いガソリンはとても安いアメリカですが、消費量が多いので、燃費は重要な要素です。
さらに言えばブランドイメージでアメリカ車に劣後するという時代ではなく、現地生産のトヨタ車が今回のトランプ関税で不利になる要素は、あまりないと考えてもいいのではないかと推測します。
他の自動車メーカーの苦境
むしろこの状況は、トヨタの競争相手を追い込むのではないかと考えられます。ニッサンは早々と日本国内の生産台数を減らして、米国での生産体制を強化すると発表しています。他のメーカーも同様の手を打ちたいはずですが、そこまでの体制が取れないメーカーは、手の打ちようがなく、最大の市場であるアメリカを諦めなければならないところも出てくるでしょう。
また、米国の自動車メーカーに、関税による部品の高騰を理由に値上げすることを、トランプさんは控えるようにコメントしているようで、これはアメリカの自動車メーカーにとってもきつい状況になるはずです。
今後の見通し
トランプさんの行動を日本の株式市場は読み切れていなかったようで、市場は大きく動いています。ただ、金融機関や商社株が大きく下げたのに対して、トヨタやホンダの株は影響が小さく、早くから対策が取られていたことが伺えます。
この二社については、それぞれの戦い方で世界で厳しい戦いを勝ち抜いてきており、リスク管理も十分にされていることがわかりました。
同じ自動車メーカーでありながら、この両社は違ったアプローチで世界を相手に競争を続けており、対応が遅い政治とは対象的な状況と言って良いのではないでしょうか?
株は現物で
株は信用取引でレバレッジを利かすことができますが、このような大相場では私の様な素人のメンタルは保たないと思います。塩漬けといえば言葉は悪いですが、悪いときにホールドできる現物取引は、メンタルに優しいと言えると思います。