プロ野球で学生気分が抜けない選手たち アマチュアとは違う現実

最近の選手たちの言葉に、楽しみたいというコメントが良くあります。なぜ楽しむという事が必要なのかといえば、あまり緊張すると普段の力が発揮できないというところから来ていると思います。かつて日本のスポーツ選手はオリンピックなどで、国民から寄せられる期待のためにプレッシャーに押しつぶされ、実力を発揮できていないと言われた時期があり、楽しむぐらいの気持ちでリラックスするという目的だったと思います。ただそれは十分に努力して実力を発揮できれば結果がついてくる場合であり、実力が伴わないのに遊び半分の気持ちで楽しむという意味ではないと思います。

プロ野球という弱肉強食の社会

プロ野球の選手は厳しい環境に置かれており、それは学生野球などのアマチュアとは全く違う世界です。選手の中には有り余る才能のため、学生気分でも結果がある程度出せる選手もいるでしょう。しかしプロ野球というトップ同士が争う環境では、学生気分で勝ち抜ける選手は極めて稀有な存在と言えるでしょう。

一般社会も弱肉強食の世界

実はサラリーマン社会に代表される一般の組織においても、弱肉強食の社会は存在しています。日本の場合は解雇の規制が強いので、あまり感じることはないかもしれませんが、実は正社員と派遣労働者との間には激しい競争があり、大企業と中小企業との格差に起因する就職活動も弱肉強食の世界が広がっています。

プロ野球も一般社会も組織の上に行くに従い敗者が増えるので、敗者同士で楽しむことはある程度できることになります。

プロ野球も一流選手ほど競争が激しい

プロ野球を見ていると、一流選手ほど厳しい姿勢で試合に臨んでいる事がわかります。よくファームの選手が一流選手の準備を見てその内容に驚くというコメントを聞きますが、その時点でファームの選手の努力不足がわかります。

レギュラーを何年も維持する選手は、次々と現れるレベルの高いライバルから自らのポジションを守るために、高いレベルで努力を続け、年令を重ねるにつれてその内容は濃くなります。

若い時に動いていた筋肉が固くなるなどの加齢による劣化を防ぐためだけでも、練習メニューが増えていきます。若いときからのメニューを減らすことは、成功者ほど勇気がいるので当然の成り行きでしょう。

ジャイアンツのファームの選手が楽しそう

楽しんでゲームをすることを決して否定はしませんが、ファームにいることに焦りを感じていない選手が多いのではないかと思います。以前と違いプロ野球は1軍とファームにいる選手の入れ替えが頻繁に行われるので、ファームで待機している気分の選手がとても多いのではないでしょうか?特に中堅選手にはその傾向が強く感じられ、ファームの雰囲気を甘いものにしている懸念があります。

高卒選手でも5年も芽が出なければ、危険水域です。大卒の選手ならば3年で危険水域と言っていいでしょう。大卒で社会人を経験していれば、2年目から危険水域と言っていいでしょう。

そうある筈なのに、当該年数の選手たちにあまり危機感が感じられません。何処か出世を諦めたサラリーマンたちが、低いレベルで仕事をして喜んでいるような雰囲気を感じてしまうのは、流石に考えすぎで、選手たちはそれなりに危機感を持ってやっていると思います。ただやはり甘い空気は、いつか心に染み入って、努力のレベルを下げてしまうことは、人間社会ならば当然の成り行きだと思います。

桑田二軍監督の考え方

プロなんだから努力して当たり前という考え方は、間違いではありません。プロなんだから努力して当たり前で、練習は強制されるものではないという考え方は、理想の考え方です。しかし現実的には、努力が足りない選手が、マジョリティです。そしてマジョリティが組織の雰囲気を醸成します。甘い雰囲気の中で自分を律することのできる選手は、余程出来上がった選手であり、そういった選手は短い期間で頭角を現すでしょう。問題は努力が足りていない選手をどうやって自覚させるかだと思います。

自分なりに精一杯努力して楽しめることができれば良いのは、アマチュア選手だけです。プロはポジションを勝ち取るための弱肉強食の世界です。

今のジャイアンツのファームは、どこか楽しそうで、それはアマチュア野球や趣味の野球ならば良いのですが、プロである以上ファームの試合ではもう少し殺伐とした真剣味が感じられるべきだと考えるのは、古い時代の考え方なのでしょうか?

浅野翔吾選手に抜かれた選手たち

今ファームで練習している外野手たちは、浅野翔吾選手の活躍をどのような目で見ているのでしょうか?同期で出世した人物を肴に、愚痴でも言っているサラリーマンと同じとは思いませんが、今までの努力の量では足りないと感じることはできているのでしょうか?

才能がありながらドラフト1位になれなかった時点で、アマチュア時代の努力が足りないと考えていれば、とっくに目が冷めていたのではないかと期待してしまいます。2年目で体格的にも恵まれていない浅野選手にごぼう抜きされている現実を、ファームで燻る選手たちはどう考えているのでしょうか?もし、”浅野選手はドラフト1位で別格だから・・・”と自分を慰めているならば、残念な未来になってしまうかもしれません。

もうワンランク、努力の量と努力の方向性を見直すきっかけに、浅野選手の活躍がなればいいと切に願っています。

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