変わった4番の仕事 打点を稼げばいいというものじゃない 人気低下

野球の4番打者のイメージが、ずいぶん変わってきてしまったと思います。メジャーリーグでは2番最強といわれ、実際にドジャースでは、ベッツ選手が離脱するまでは大谷翔平選手が務めていました。日本でも一時期は3番最強説が主張されましたが、また現在は勝敗を背負うのは4番だという言われ方をしています。しかし、最近の4番打者は日替わりで変わることが多く、不動だと思われたタイガースの大山悠輔選手はファーム落ちまで経験しています。また一時期4番を任されていたドラゴンズの石川昂弥選手は、スタメンから外されることも珍しくありません。チームの顔と言われながら、なんだか4番の扱いが軽くなったと最近思います。

打線を活気づけるのが4番

よく打点を稼ぐのが4番の仕事といいますが、ノーアウト満塁で犠牲フライで1点取ったり、内野ゴロで1点取って4番打者がベンチ前でハイタッチなんかしているのを見ると、4番の価値も下がったものだと思ってしまいます。犠牲フライで1点取って合格なのは、5番打者だけで、3番と4番はヒットかフォアボールで繋げてくれなければ、チームが盛り上がりません。ノーアウト満塁で犠牲フライで1点取って終わりならば、4番でなくても十分にできる仕事です。ノーアウト満塁で4番が打席に立つならば、最低でもヒットか押し出し、できれば長打で大量得点を取ってほしいものです。犠牲フライで1点とって、もしその回に1点どまりであるならば、かえって相手チームが盛り上がってしまうでしょう。4番であるならば、相手投手をノックアウトするような勢いを打線につけるのが仕事で、犠牲フライで”4番の仕事”などとアナウンサーが叫んでいるのを聞くと、4番の価値が下がっていることに、わかっていないことに驚いてしまいます。犠牲フライで1点取って最低限の仕事などと満足してしまって、相手チームが反撃のムードを盛り上げてしまっては、4番とは言えないし、ファンやアナウンサー、解説者が4番打者の仕事としては不十分であることを示さなければ、どんどん弱い4番しか育たなくなるでしょう。

3割打てずに打点を稼ぐのは5番打者

最近は3割打者が本当に少なくなりました。いくら100打点近くを稼いでも、打率が.250程度では4番として物足りないと思います。少なくとも3番と4番は打率.333で本塁打30本ぐらいは打ってくれないと、物足りないと思ってしまいます。

打率.333は3打数1安打で1四球を選べばいいので、かつてのプロ野球ではそれほど難しいことではありませんでした。ON砲の時代まで遡らなくても、高橋由伸、松井秀喜の二人は常に3割30本に近い数字を残しており、チームは常に優勝を争っていました。

しかし今のジャイアンツは3割バッターが一人もおらず、30本塁打を望めるのも岡本和真選手だけです。これでは強いチームとして安定した戦い方ができるはずもなく、試合自体も魅力のないものになってしまいます。

昭和の時代はONの打席が終わると球場からの帰宅者が増えたり、銭湯が混んだりすることが普通でした。高橋-松井の時も二人に打順が回ればなんとかしてくれるのではないかと、ワクワクしたものでした。

しかし今は各チームの勝ちパターンを打ち崩せるクリーンアップを持つチームは無く、終盤のゲームがつまらないものになってしまっています。

エースの決め球を仕留めにいった4番打者

かつてのエースと4番の対決は見ごたえがありました。4番打者はエースの決め球を打ちにいったと言われています。最近のプロ野球は1対1の対決に見るべきものが無くなっており、プライドを掛けた対決というものが見られなくなりました。野球はチームスポーツなので個人の対決にあまり価値はないのかもしれませんが、エンターテイメントとしてのコンテンツと考えると、1対1の対決は欠かせないものとなると思います。

ライバル対決といえば長嶋対村山、王対江夏、江川対掛布など古くからの対決は有名ですが、次第に4番の存在感が薄れてしまってきたのかもしれません。

村上宗隆選手や岡本和真選手も、4番として挑みかかるには数字が物足りないと、各チームのエースと呼ばれる人は感じているかもしれません。

メジャーで通用するのは投手だけという現状では、それも至極当たり前なのかもしれません。

いずれにしろ投高打低と言われて久しいですが、大谷翔平を追いかけることができる打者が誰もいない現状は、プロ野球をつまらない物にしているのではないでしょうか?

3割打者が一流の証ということをそのまま当てはめれば、今は殆ど一流の打者がいない状況と言っていいでしょう。

試合時間の短縮をこんな形で実現しているとしたならば、野球人気の低下はますます加速すると危惧します。

プロ野球はファンのためのものであり、プレイヤーのためでは無いことをもう一度考えたほうが良いと思います。

ファンがお金を払ってくれなければ、存続できないのは当たり前の話です。そこは高校野球とは明らかに違うのです。

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