新体制になってどのような野球を目指すのか、就任挨拶で聞かれた阿部新監督が、”まだ考えていない。”という、正直なコメントを発しました。4年もコーチをやって、そんな事も考えていなかったのかと少し残念な気分になりました。しかしよくよく考えてみると多分、理想の野球は頭の中にあっても、今のジャイアンツの置かれた状況下で、それが目指す野球と合致するかどうかは別問題です。当然理想の野球は描けているが、それを目指す野球としてコメントできるかにギャップがあったのではないかと、個人的には好意的に捉えています。
株式投資の学校リリーフ陣の崩壊が敗因か?
ジャイアンツの2023年の敗因に、リリーフ陣の崩壊をあげる人が多いと思います。数字を見ればリリーフ投手の防御率が悪く、1点を守りきれなかった事が直接の敗因となるのは当然のことでしょう。しかし、個人的にはそれは根本的原因ではないと思います。特に2023年に限っては、大勢投手の離脱があったので、そう取られる可能性が高いですが、リリーフ投手は故障がつきもので、長くそのポジションを守ることができたのは、レジェンド級のクローザーばかりです。どちらかと言えば短期間で勢いを失って、配置換えになる投手の方が多いのが現実的なところでしょう。2023年開幕時に、頼れるリリーバーが大勢投手のみだった時点で、リスク管理ができていなかったとして、首脳陣の戦略ミスを責めるほうが妥当なのではないかと思います。頼れるリリーバーが3人いるか中で、クローザーが調子を落としたのでセットアッパーを配置換えするなどのプランBが無かった時点で、長いペナントレースを勝ちきれる体制になかったとしか言いようがないと思います。
中川皓太投手の調整の遅れや、新外国人ロペス投手の力不足を計算に入れていない時点で、開幕前から手探りだったのは、明らかに準備不足でしょう。
結局シーズン終了時までリリーフ陣を形成できず、新人の船迫大雅投手や菊地大稀投手を起用していましたが、来シーズン同じ様に使えるかは疑問符が付きます。今シーズンの疲れや相手チームの研究を上回る成長が見られるかが、鍵になることは間違いなく、あてにできる戦力かどうかは不確かなのが現実です。
個人的には菅野智之投手がクローザーになるのが一番だと思うのですが、どうでしょうか?
本当の敗因は打線が打てなかった事
チーム本塁打が1位だということで、打線はよくやったと見る向きが多いようですが、私はそうは思えません。得点が本塁打の割に少ないのは、点取りゲームでありながら本来の目的を果たせない打線ということで、大きな敗因だと思います。ましてや本塁打の出やすい屋内の狭いドーム球場で、本塁打1位はむしろ当然のことでしょう。1番から8番まで初球から振り回してしまえば、相手投手は球数が伸びずに疲労がたまりません。ジャイアンツの投手陣は狭い球場で細心の注意を払って球数が増えるのに対して、ジャイアンツ打線は淡白な攻撃が続けば、相手投手も守っている相手野手も楽でしょう。東京ドームでは序盤のソロホームランは仕方ないと考えることが多く、ジャイアンツ打線は相手チームの術中にハマっているとも言えます。
そして一番の問題は打ち勝つ打線を組みながら、1点を争うゲームに相手に持ち込まれてしまったことでしょう。終盤に1点を守り抜く野球を目指していないのに、大量点を取るゲームが少なく、僅差のゲームになってしまえば、四球が少ない早打ちのチームが負けるのは当然のことだと思います。
このあたりを捕手経験の十分な阿部監督がどの様に分析しているかが、非常に問題になると思います。今年のように好球必打という名のもとに、全員が早打ちを繰り返していれば、今年と同じような結果になり、敗因が分析できていないことになると思います。
打ち勝つ打線を組んで早打ちを続けるならば、終盤に1点差で勝っている状況は、目指している試合運びとは言えないでしょう。
1点差を勝ち抜く野球を目指すならば、チーム全体で相手チームにプレッシャーを掛け続け、相手投手陣に疲労をさせて、さらに相手野手の集中力を削る野球をしなければ、長いペナントレースを勝ち切ることは難しいと思います。
1番と2番にどういう打者を置くのか
原監督は1番打者に長打力を求めました。しかし、今のジャイアンツに長打力があり、出塁率もある、更に盗塁ができるような打者は多くはありません。門脇誠選手が1番にハマる選手だと思いますが、問題は2番打者だと思います。今のジャイアンツ打線だとセンターに守備範囲の広い選手を入れることが必要で、その選手が2番にハマれば最高でしょう。
できれば2番打者は、右打者が適していると思います。左打者の場合はランナーを進めるために引っ張りが必要とされますが、そのためには高い技術が求められます。右打者であれば右打ちはそれほど難しくないので、右打者が良いのではと思います。
そうなるとファンの皆さんは、浅野翔吾選手と萩尾匡也選手の成長が期待されるところだと思います。ともに2022年のドラフト指名ですが、センターを守るとなると高い守備力が問われます。センターの守備は非常に重要で、甲子園やバンテリン等の広い球場のみならず、東京ドームなどの狭い球場でも非常に重要です。強いチームには必ずと言っていいほど守備範囲の広いセンターが存在しており、今年ヤクルトが今ひとつ調子が上がらなかった原因の一つは、塩見選手の離脱が大きく影響していると推測できます。
センターラインの重要さを理解している阿部監督が、センターの守備力をどのくらい重視して人選するかが、非常に注目されます。
阿部監督が指揮を取る秋季練習で誰がセンターに入るのか、とても人選が楽しみです。