ジャイアンツは補強資金に恵まれ、練習環境にも恵まれた球団です。セ・リーグの在京ということで移動時間や遠征も少なく、体力的な消耗も地方の球団よりは少ないはずです。また、ファームの施設が充実しており、本拠地とも比較的近いため、親子ゲームなども実施でき、日本ハムのように一軍とファームの距離がある球団よりは遥かに恵まれていると思います。
しかし、現在チームは5位と低迷し、最近は負け越しが普通になってきつつあります。そんな中でいつも批判にさらされるのが首脳陣であることは、当然のことでしょう。
組織で運営されている限り、組織の管理者が責任者であることは社会の常識です。日本では組織のトップが責任を取らずに、部下に責任を押し付けることがしばしば問題になりますが、これは何処の国にもあることだと思います。問題は組織のトップの任期が長すぎる場合、自浄作用が働きにくくなることだと思います。
ジャイアンツの場合は原監督は現場の責任者であり、チームのトップではありますが、球団のトップではありません。従ってその組織が機能していれば問題はないのですが、外部からはよく見えない部分で、逆に言えばファンを相手にしている球団が透明性に欠ける運営をしているということになると思います。
日本の球団の情報開示が少なすぎる
日本の場合は特に内情を隠すことが多く、マスメディアも突っ込むことをしません。12球団のうち2つもマスメディアを親会社として持っているため、報道もアメリカなどに比べて甘いものになっています。当然批判に晒されるべき不祥事などについても、メディアの追求が極端に弱く、透明性が担保されているとは思えません。球団もファンサービスと言いながら、本来必要な情報開示をせずに、ファンのレベルをあげようとはしません。グッズの売り上げや、観客動員に努力を惜しまないことは当然ですが、ファンのレベルを上げるような情報開示をしなければ、ファン層は広がらないと思います。
野球界の発展のためのファンサービス
ただでさえ野球の競技人口が減る中で、野球の奥深さや、球団経営の部分まで、ファンの魅力を引き付けなければ、衰退につながっていくと思うのですが、未だにファンをシャットアウトする姿勢が見られるようです。若者を中心にプロスポーツチームを経営するゲームが、浸透しているにも関わらずこの状況が続く原因は、今の球団経営者の目線が、ファンの興味の対象を見誤っているからではないでしょうか。
球場に行ってグッズを買って、外野で応援歌を歌ってくれるファンだけでは、ファンの裾野は広がらないということを考えるべきだと思います。
なんのための地方球場での開催なのか、意義は何なのでしょう?
ジャイアンツに見えた不協和音
大久保コーチのコメント
高橋宏斗投手に抑えられた打線に対して、”今日の高橋宏斗は打てない”と白旗を上げました。どんな対策を立てたのかは分かりませんが、プロは結果が全てです。責任は組織の長にあるので、打撃部門の責任者である大久保コーチが責任を取るのは当然の流れです。大久保コーチも自分に責任がある旨は、常に発信しています。しかし、努力をしているところをファンにはアピールしてほしいものです。開示できる範囲は限られているかもしれませんが、ファンサービスの一環として精一杯のコメントをするべきだと思います。
ファンはお客様です。企業の販売担当者が顧客に対して、成績が上がらない理由を隠していられるものではありません。ファンを大切にするならば、できる範囲でファンが納得できるコメントを丁寧に発するべきだと思います。
坂本勇人選手のコメント
昨年までのキャプテンは、成績が上がらないとはいえ、チームリーダーの一人であることは間違いありません。
その坂本選手が同じ試合で、責任感あふれるコメントをしてくれました。
「チームみんなで打ち崩さないと」
このコメントは、直言を避けながらも、坂本選手の本音の部分が出たと思います。難敵である高橋投手に対して”チームみんなで打ち崩す姿勢”が欠けていたので、こういった発言になったのではないでしょうか。
この二人のコメントを較べて、一概にチーム内に不協和音があるとは言えませんが、内部事情まで知らないファンには不信感が出てきても仕方がないでしょう。
ここまで成績が上がらない中で、不協和音が起こらないのであれば、それは逆の意味で戦う気持ちが足りないと言えるかもしれず、坂本勇人選手が戦う気持ちを見せてくれたことは、ファンにとっては救いでした。
ファン獲得のためには
野球選手はマスメディアの先にいるファンを、大切にしなければなりません。
応援してもらうためには、ある程度の透明性も必要です。
最近ジャイアンツは選手の練習風景の動画などを、大量にYou Tubeなどに上げています。他にも選手のプライベートに近いものまで公開しています。当然ファンは選手を身近に感じ、ファン獲得のため大きく役立っていると思います。
しかし、本来の野球とかけ離れた情報には限界があり、ファンが本当に求めているものとは違うでしょう。
公式チャンネルでコーチや選手の試合後のインタビューを上げることは、NFLでは当然のことで、長さもかなりの長尺です。ここまでやれとは言いませんが、ジャイアンツも敗戦後のインタビューを監督やコーチが受けて、表面的なものではない物を、ファンに対して伝えるべきではないでしょうか。
昨晩のDeNA三浦大輔監督は、短いながらも敗戦後のインタビューを放送枠内で行っており、DeNAの姿勢には好感が持てました。
バウワー攻略
昨晩はDeNAのバウワー投手に対して、初対戦でありながら対策がしっかりされていたと思います。甘めのナックルカーブを立ち上がりに丸選手と大城選手が打てたのは、その証左ではないでしょうか。また、セットポジションについてもデータが入っていたようで、投手が打席に入っているにも関わらず盗塁成功した門脇誠選手には、100%の確証があった筈です。
サイヤング賞のバウワー投手ですので、やられるまではチームも指導をやりにくかったのかもしれませんが、DeNAも次はきっちり修正してくるでしょう。
巨人のデータ班
この様にジャイアンツデータ班には、一定の能力があることを証明しています。
今回のような単純なケースでなくても、データをチームで使いこなせるかどうかは、コーチ陣の指示にかかっていると思います。
坂本選手が言う”みんなで打ち崩す”は、弱いチームなら当たり前のことです。現状の戦力と順位を冷静に考えて、弱いチームとして難敵に立ち向かって欲しいと思います。