巨人が阪神に完封勝ちをした。3タテを食らうのを防いだ貴重な勝利であった。
坂本選手が初回にソロホームランを、バックスクリーン左に打ち込んだのが決勝点。
高橋-中川-デラロサで完封リレーだった。そしてこの試合で1番貢献したのは、炭谷捕手だったと思う。2点目の犠牲フライではなく、キャッチャーとしてのリードで貢献した。
インコースを執拗に攻めて、阪神のバッターのバランスを崩した。バランスが崩れた阪神のバッターは、甘い変化球をことごとくミスショットした。NHK放送での今中さんによれば、インコースを攻めるだけでは効果がなく、インコースを攻めた球に対してスイングさせなければならないと解説していた。体に悪いスイングを覚えさせれば、良いスイングができないということだろう。少しそれるが、ゴルフも日によって出る球筋が違う時があり、何処が原因で悪い玉が出るのか分からなくなる。悪いスイングを続けていると、それが体に記憶されてバランスを失い、ミスショットがどうしても止まらなくなることがある。
昨年の日本シリーズで岡本選手は、1打席目に千賀投手のインコースの速球を狙っていたかのように果敢にスイングし、バットが砕けてしまった。その後岡本選手が調子を上げることができなかった。もし炭谷捕手が3連戦の頭でこのリードをしていたら、その後の展開が大きく変わっていたかもしれない。大城捕手もインコースを攻めさせているのだが、効果が出なかった様にみえる。(もしかしたら、1・2戦目のインコース攻めが、3戦目に活きたのかもしれないが。)
高橋投手は苦手の左バッターのインサイドを攻めたためか、甘めのスライダーで打ち取っていた。いつもならインサイドを悠々と見逃されて、アウトコースを踏み込まれて打たれるケースが多かったはずだ。
デラロサも三者三振で危なげなくゲームをクローズした。特に見逃しの三振が2つあり、炭谷捕手のリードが光ったと思える。
高橋投手もデラロサ投手もコントロールがアバウトだが、それを見越した見事なリードだった。
昼間のイースタンの中継で元巨人の村田捕手が、リードを覚えるのは経験だと言っていた。きっとファームの捕手は、阿部監督から投球内容のチャートをつけることを命ぜられ、勉強しているはずだと解説していた。
今年巨人は4人の捕手をドラフトで指名している。そのうち3人は大卒の捕手だ。
今日の2軍戦では1軍から降格した小林捕手が先発していた。途中から育成2位の喜多捕手が出場していたが、十分な経験を積むほど実戦の機会は与えられるのだろうか。昨年入団した山瀬捕手を始めとして、実戦の経験が必要な捕手はたくさんいる。3軍の試合もそれほど多くは組めないであろう。リードが座学で体系的に学べるものでなければ、実戦の機会は数多く必要だ。座学に近い形で指導できたのが、野村監督や大矢監督ではなかったのではないかと思う。
炭谷捕手がその域に達しているとしたら、巨人にとっては大変な人財である。