トランプさんの関税のせいで、アメリカの株式市場も日本の株式市場も大荒れに荒れてしまいました。相場の事なのである程度の乱高下は仕方がないと思われますが、それでもその相場の荒波に耐えきれずに、S&P500やオルカンと呼ばれる指数を使うインデックス投資で損切りが発生してしまっているようです。
相場の大きな荒波は、株式市場では当然のことであり、これに耐えきれるようなメンタルと投資スタンスを固めてから入金に踏み切るべきですが、実際にはそれらが揃わないうちから投資を始めて、含み損に耐えきれなかった人たちが、一定数存在すると言われています。
勉強不足を責めることはできない
勉強不足でメンタルが保たずに市場から退出してしまった人たちを、努力不足と責めるのは少し違うと考えます。そもそもどんなに勉強をしても、相場でメンタルを平静に保つことは、簡単ではありません。ベテランで実績を残している投資家のみなさんでも、今回のような乱高下ああれば、心は揺らぐはずです。
数年かけて積み上げてきた含み益が、あっという間に溶けてしまえば、証券口座を覗くことも嫌になります。
どんなに周到に準備した初心者さんでも、今回のような相場では心安らかにしてはいられないでしょう。
そんな時はポジティブな情報が誰も欲しくなり、そしてその情報を共有することによってある程度の耐性ができるのだとと思います。
政府の責任はあるのか?
政府は新NISAの枠をつくりました。この制度はイギリスの制度を参考にして作られたと言われています。増税一色の最近の政策の中で、唯一と言っていいほどの良制度と言っても良いのではないかと思います。ただ、枠を作っておきながら、結果は自己責任でという投げっぱなしの雰囲気が気になります。投資ですので結果が自己責任というのは当然と言えば当然ですが、日本人が相場を極端に怖がるのは、政府に責任があると思います。
NTTの株が放出された時、相場は大盛りあがりをしましたが、行き過ぎた高騰の反動で、大損をした人たちを日本人は見てきました。
”やはり株なんてやるもんじゃない。”なんて言うトラウマを抱えた人たちはとても多かったと思います。
その後にはバブルの崩壊がありました。こちらは主に不動産市場に起因するものですが、大儲けをする人達がいる一方で、大きな負債を抱えてしまった人もいたことは事実です。そしてそのバブル後、長く日本の株式市場は復活することができませんでした。
バブルを弾けさせたのは、自然の成り行きという側面もありますが、やり過ぎの政策の要因も少なからずあったと思います。
さらにバブル崩壊後に30年以上も復活できなかったのは、政策の誤りと日銀の金利操作の不手際と言えるのではないでしょうか。
リーマンショックなどの大きな下落から、必ず短期間で復活するアメリカの株式市場とは、大きな違いがあると思います。
金利の操作にしても市場との対話を重んじて慎重に行うアメリカと、硬直的な運用を繰り返していた日本の金利政策には、大きな開きがあると言っていいでしょう。
相場は必ず戻るものと刷り込まれているアメリカ国民と、30年戻らないかもしれないという経験を持つ日本国民に、相場に対するメンタルの強さに大きな差があるのは当然のことでしょう。
日本政府が自らの失敗を認めることは難しいのだとは思いますが、政策の不備によって日本経済が成長を止めてしまったことを、国民はもっと気がついていいと思います。
勤勉で優秀と言われている日本国民が30年以上も働いているのに、相対的に給与が下がっていくなんてことは、普通にしていればありえないことで、ギリシャを引き合いに出して比べること自体ナンセンスだと思います。
政府保証は難しい
株式市場の低迷について政府が保証することは現実的ではありません。しかし、日本の株式市場が成長していくことは、政府と日銀の政策によって実現できるはずです。逆説的ではありますが、国民の投資の損失は保証できなくても、日経平均株価の成長を約束することはできるはずです。
そもそも先進国の中で唯一成長できなかったというのは、過去の失政によるものにほかなりません。自民党にすべての責任を押し付ける気はありませんが、現政権が過去の誤りを認め、アベノミクス以降の功績を認めて、日経平均の成長を公約に挙げて成長を約束することはできるはずです。
経済が成長できれば年金問題や財政の赤字問題は、一気に解決する方向に向かうはずです。財政赤字の削減がすなわち、経済の低成長につながるという事が認識できなければ、日本の沈没は続いてしまいます。
経済学ができない政治家、もっと言えば数学ができない議員は国会議員になる基礎知識にかけているとして、地方議員止まりにしてほしいと思います。
経済がわからない、数学がわからない議員はいつまで経っても正しい方向に向けないと考えます。