日本人投資家たちにとってバークシャー・ハサウェイのバフェットさんは、神のように崇められているようです。日本の商社株を大量に購入して5大商社の株が軒並み上がったのは記憶に新しいですが、バフェットさんの行動はあまりにも話題になり、決して少なくない一部の日本の投資家たちに影響を与えているようです。

S&P500を全部売却したバークシャー・ハサウェイ
新NISAが始まって以来日本で大人気のS&P500ですが、バフェットさんが率いるバークシャー・ハサウェイが全量を売却したというニュースが、大きく報じられています。ネットではS&P500 終了などという書き込みが多く見られ、あまりこのあたりに詳しくない投資初心者を不安に陥れているように見えます。
確かにバークシャー・ハサウェイはS&P500を指数としているETFのSPYとVODを100%売却しています。ただこの情報について2つ大切なことについて考慮して、情報を受け入れなければならないと思います。
1つ目はSPYとVODが極めて少ないポーションで、ファンドに取り入れられていたということです。具体的には両銘柄ともに、ファンド全体の0.01%しか組み入れられていなかったということです。極めて少ない割合で組み込まれていたので、整理されたと見るほうが良いでしょう。
2つ目は両銘柄ともにアメリカの株式市場そのものに投資する銘柄であり、バフェットさんがアメリカの株式市場全体を見限ったから売却したという事情ではないと推測されることです。2024年の4Qで売却されたのですが、同時に個別銘柄を入れ替えており、新たに購入したものもかなりあります。もしS&P500を見限ったということであれば、アメリカの株式市場全体、言い換えればアメリカの資本主義を見限ったということと同じになってしまいます。
これは個人的な意見になりますが、バークシャー・ハサウェイのようなファンドがS&P500のような指数に投資するのは、本来の動きではないと思います。ファンドであれば、S&P500のような指数を上回るパフォーマンスが期待されるのであって、S&P500を投資の柱にするのであれば、個人でも十分できる話です。むしろ資金をS&P500に入れるよりも、個別株で構成されたバークシャー・ハサウェイの個別のファンド構成が求められているのであって、今回のS&P500全売却は、本来期待される動きではないかと思います。
バフェットさんが妻に勧めるS&P500
バフェットさんは自分の死後はS&P500を資金配分の主力にするように、奥さんに伝えてあると言われています。これは投資の素人である奥様に対しては非常に的確なアドバイスであり、その考えが変わったから今回のファンドでの売却になったとは言えないと思います。逆に言えば個人投資家で個別株で勝負できるような一部の人達以外は、相変わらずS&P500を資金配分の中心においておくべきと考える事が良い判断ではないかと推察します。
バフェットさんが日本の5大商社を買い増し?
バフェットさんが顧客に当てた手紙はいつも大きな話題になりますが、今回は日本の商社株を10%を超えて購入する可能性があることに言及しています。ネットではこの事象について盛り上がっています。中には陰謀論めいたものがありますが、この手紙の情報は素直に受け取って良いのではないかと考えています。バフェットさんほどの地位と名声があれば、あまり変な動きはできないもので、特に市場を混乱させて利ざやを稼ぐようなことはできないと思いますし、する必要がないと推測します。
さらに言えば小金を稼ぐような細かい動きが巨大ファンドには難しく、ここでは正攻法での動きしか考えにくいと思います。いつ買い増しをするのかはわかりませんが、現状の株価は割安とバフェットさんが考えていることは間違いないと思います。
我々個人投資家が日々の細かい動きの中で、どんな戦略を取るのかとても自由だと思いますが、バークシャー・ハサウェイのような巨大ファンドでは選択肢は限られていると推察します。
これからの日本の5大商社の動きについて、注目されることは確かだと思います。
しかしあまり振り回されると、手数料だけがかさむ可能性もあり、しっかりとした判断のもとで動きたいと思います。
※投資は自己責任です。ご自身の判断に責任を持ってください。
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