テレビや新聞は正義であり、腐敗している権力を正すものだと信じていた世代に、私も含まれていると思います。政治家が汚職にまみれていた頃は、テレビや新聞は権力の腐敗を暴く正義として広く認識されていたと思います。
しかし、最近の政治家は選挙制度の変化や世の中の変化によって、小粒な政治家が増えてきました。それが良い事なのか、悪い事なのか判断に迷いますが、巨悪と言える大物が減ったように感じます。
ロッキード事件など世間を揺るがすような巨額の事件が、今は殆ど報道されません。本当に巨額の汚職が無くなったのかわかりませんが、テレビのワイドショーなどで取り上げられる事件の金額は、桁違いに小さくなっています。
当然汚職は悪いことであり、報道するには値するものと思いますが、連日同じ事件を追いかけるほどのものではなく、テレビ局の常識を疑います。
テレビ局のご都合主義
テレビのワイドショーは、平日のお昼を埋めなければなりません。最近は視聴率が稼げないのでスポンサー料も上がらず、番組の制作費は限られているでしょう。
限られた予算の中でお昼の数時間を埋めなければならないとなると、内容の薄い事件を”あーでもない、こーでもない”と出演料の安いコメンテーターとほじくり返すのが一番なのかもしれません。
しかも、深く掘れる弱い人達は徹底的にほじくり返します。
芸能人も弱小事務所に所属するタレントと、大手の事務所に所属するタレントでは、突っ込み方が明らかに違います。
スポーツ選手の取材も同様です。今後取材の協力がもらえなくなると困るスポーツに所属している選手は、かなり固く守られています。
新興のスポーツで誰も守ってくれない選手は、執拗な取材を受けます。
政治家も与党の政治家で視聴率が取れる政治家のスキャンダルは、疑惑の段階でも執拗に取り上げます。しかし、野党の政治家の場合は有罪が確定している案件でも、極端に取り上げることが少なくなります。
結局、視聴率が取れるかどうかで報道の内容が変わり、そこに公平性は全く見られません。報道番組ではなく報道バラエティなのだからという言い訳は詭弁に過ぎず、あまりにも偏った放送内容に、そろそろ視聴者も飽きが来ているのが、今のテレビ離れに繋がっているのではないでしょうか。
若い世代のバランス感覚
若い世代は様々な情報源を持っています。それは玉石混交であることも、多くの若者は気がついています。古い世代のように、”新聞に書いてあった”、”テレビが言ってた”ということで、信じてはくれなくなっています。
テレビは与党を叩くことが使命のような佇まいですが、若い世代はそんな姿勢を評価していません。アベノミクスによって救われたのは若い世代です。就職氷河期の恐ろしさを若い世代は知っています。たった一年遅く生まれただけで、就職状況は天と地ほどの差が出ました。何故そんな事が起こったのか、若い世代は良く知っています。そして就職氷河期の世代は、もっと深刻に受け止めています。
安倍晋三元首相がお亡くなりになった時、若い世代が手を合わせる姿が目立ちました。若い世代の人たちは古い世代よりも、情報に対して正しいバランス感覚を持っています。それは様々な玉石混交の情報を、常に浴びているからです。
テレビのコメンテーターが偏った情報を流しても、古い世代は騙せても、若い世代は誤魔化せません。
だからテレビの価値が落ち、新聞の価値が落ちているのではないかと、私は推測しています。
テレビは変わらなければならない
もうテレビの経営者は、古い世代から変わらなければならないでしょう。
情報の偏り、大手芸能事務所への忖度。
若い世代は気がついてしまっています。
新聞の部数は、とんでもない勢いで減少しています。
確かにメディアの価値はネット情報などによって、相対的に減っているでしょう。
しかし日本のメディアは、その絶対的な価値も減ってしまっていることを自覚しなければならないと思います。偏った情報やコメント、弱者への執拗な取材と、強者への忖度。
本来コメンテーターは幅広い分野から選ばれなければならないのに、アイドルと元アイドル、お笑い芸人がほとんどって、どういうことですか?
浮世離れした二世タレントやお金持ちの、浮世離れしたもっともらしいコメントに、騙されない若い世代が視聴するはずありませんよね。
番組の方向性に反するコメント
番組の意図に添えないコメンテーターは、排除されていることにも、若い視聴者は気がついています。識者と言われる弁護士などのコメンテーターも、自由に発言ができてるとは思えません。現に自由に発言したコメンテーターは干されています。今はそういった情報がネットにあふれている時代です。テレビが偏った情報を流し続ければ、それは質の悪い宗教にも近くなってしまいます。
多様性云々を口にするなら、多様性の有るコメントを発信して欲しいと切に願います。
そうなれば、少なくともテレビの絶対的な価値は上がってくると思います。
まだまだ、テレビは生き残れるメディアです。