12球団で唯一ポスティングによる移籍を認めていない福岡ソフトバンクホークスですが、今回の千賀滉大投手のコメントで、ファンの間では賛否両論が沸き起こっているようです。きちんとした情報が公開されているわけでもないので、両者のそれぞれの主張は理解できる部分があります。しかし、問題の本質はホークスにも千賀投手にも無いのではと考えます。
ポルテベースボールスクール」の無料体験会へ参加ポスティングは球団の権利
ポスティングは球団が判断する権利で、ホークスが行わないとしているのは批判されるべきでは有りません。最近はジャイアンツもポスティングによる移籍を認めることが有り、ホークスが目立ってしまっているという面がありますが、批判されるべきではないと思います。千賀投手の場合は育成上がりの選手でもあり、無名であった千賀投手にホークスがチャンスを与えたという意味合いが強く、今回は余計にファンから千賀投手に厳しい見方がされているようです。
千賀滉大投手がポスティングを要求することは間違いではない
ポスティングによる移籍は選手から声を上げなければ、海外志向のない選手と球団に思われ、その話し合いさえも行われないので、球団に要求することは道義的にも問題がないと思います。ジャイアンツでポスティングを要求し続けたのは上原浩治投手が思い出されますが、結局今回の千賀投手のように、海外FAを取得してからの移籍となりました。上原投手の場合は時代も違い、逆指名でジャイアンツに入団している経緯もあるので、千賀投手と単純に比較する事はできませんが、今ほどポスティングが頻繁に行われている背景は有りませんでした。
ただ、千賀投手の場合は”後輩のため”と称して、海外移籍が決定した直後からホークスに否定的に聞こえるコメントをしており、問題視されている面があるようです。移籍球団が決まらなければ、高年俸でホークスに戻る可能性があったにも関わらず、移籍直後に否定的に聞こえるコメントを出してしまっては、球団やファンからすれば余り気分のいいものではないかもしれません。
世界一を目指す球団だからポスティングを認めない?
ホークスがポスティングを認めない理由として、”世界一の球団”を目指すからとされていますが、個人的にはピンときません。世界一の基準が強さであったり、待遇であったり、練習環境であったりと様々な基準が考えられますが、具体的には示されていません。概念的な目標でぼやっとした目標であるならば、それを理由にポスティングを認めないというのは、選手サイドから納得がいかないのはある面では致し方ないと思います。
今回あえて千賀投手の気持ちに寄り添うのであれば、”世界一”という曖昧な基準で要求を却下されることに、納得できないからではないでしょうか。
本気で世界一を目指している球団側からは、”世界一”は十分な理由となるのでしょうが、一選手からしてみれば、自分の現役中に達成できる見込みが極めて薄い中で、納得するのは非常に難しいと思います。
トップの壮大な目標に対して、時間軸が限られている選手が共感することは難しく、球団ももう少し共感できる理由をあげるべきではないかと思います。
「そんな壮大な目標が達成できる頃には、選手生命はとっくに無くなってしまう。」と、考えるのが普通の選手だと思います。
「来年球団創設以来の初優勝のために!」となれば、選手も共感できると思いますが、既に何度も日本一になっているホークスには、もう少し懐の深さがあってもいいのかもしれません。
ポスティング問題の本質
一番の問題は、選手の契約について、12球団の考え方が大きく違っていることに問題があると思います。入団時に了解していたことだからという考え方もありますが、18歳の高校生が決断したことを、いつまでも盾にとって選手を縛るのも、なんとなく納得がいきません。事細かに契約の詳細を詰めるアメリカではないので、入団時に揉める選手は日本にはいません。実際アメリカのNFLでは、新人の頃に契約合意が遅れて、キャンプに参加できない新人選手もいるほどです。
一番の問題はFA制度が中途半端で、ポスティングなどという中途半端な制度が残っているからではないでしょうか。
何度も主張していますが、アメリカの様に全選手が6年で自動的にFAとなるようになれば、ポスティングの問題など無くなります。
選手会は現役ドラフトを導入して一服ついているようですが、FAを6年としてしまえば、現役ドラフトなどより余程効果的だと思います。
選手会はもっと広い範囲の選手が恩恵を受けることができる制度を、提案するべきではないかと思います。
選手をもっと守ってほしいプロ野球選手会
千賀投手が今回コメントしたことは、賛否両論が有り、千賀投手にはあまり良いイメージがつかないかもしれません。こんな事は一選手が声を上げることではなく、選手会が選手に変わって行う必要があるのではないでしょうか。
一選手が我慢の上に球団を去り際に声を上げなければいけない状況に陥っていることは、選手会が十分に機能していないことの現れではないのでしょうか?もっとこの問題に、選手会が真摯に向き合っていれば、千賀投手は声を上げる必要がなかったと思います。