エスコンフィールド北海道 規定違反の2つの根本的原因 社会的影響

日本ハムの新球場がNPBの規定に満たない球場を建設して、問題となっています。当然施工した米国の会社、日本の施工会社、日本ハム球団に責任は所在しており、NPBの認可を必要としない建築段階においては、NPBの責任はない仕組みとなっているようです。しかし、この三者以外に根本的原因があると思います。

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プロ野球だけのものではない公認野球規則

今回のルールは公認野球規則に記載されているルールであり、プロ野球だけのものではないようです。そのルールの中には、「日本で行われる野球の公式戦は、すべてこの規則に従って行われる。」と記載されています。そしてその規則の中で、競技場の項目が独立して設けられており、競技場の広さはもちろん、ベースの規格や投手プレートの規格、ベンチの仕様まで細かく決められています。

ここで例外を認めることは、極めて大きな影響が有り、それはアマチュア野球などにも関わってくる問題です。多くの方が指摘するような、NPBや12球団が認めれば良いという単純な話では無いと考えます。

野球界以外への影響

更に規則を事後に捻じ曲げてもいいという事になれば、野球以外の分野でも同じようなことが起こった時に、いい意味でも悪い意味でも影響が大きく出てくることになります。特に言論組織でもある読売グループが関わっており、ルールの運用に対して身勝手な方向へ進めば、批判が強まることは避けられないと思います。

1つ目の根本的原因の誤訳

MLBの規約をそのまま和訳して使っている事が、今回の原因だと思います。日本で使う球場であるのに、長さの単位がフィートなどで表されていることが、その証左であると思います。日本の関係者にもアメリカのOfficial Baseball Rulesを和訳している事が認識されており、それをそのまま米国の施工会社に伝えたのではないでしょうか。普通の手続きであれば、日本の規約を英訳して米国の施工会社に渡すべきものですが、合理的に考えた日米の施工会社が英文の原本をもとに設計したから起きるエラーだったと推測します。”推奨される”を”必要とする”に誤訳されたと言われていますが、既に日本のルールは一人歩きをしており、そのルールに従って日本の野球は運用されていた事実がある事実が、今回の問題を難しくしていると思います。

また、公認野球規則では「望まれる」「理想とする」などとしている部分があるのにもかかわらず、今回問題となった部分が「必要とする」と強い断定となっているところにも、引っかかるものがあります。

2つ目の根本的原因の日米関係

日本という国はルール作りが、非常に下手な国だと思います。何のルールを作るにしても、欧米のルールを参考に、場合によっては今回のように丸呑みして作成してしまう悪い癖があります。そのため今回のような問題が起こってしまうのでしょう。ルールのどの部分が重要であり、推奨なのか、必須なのかはその国に合わせて作り込まなければいけないものを、安易にまる写しにしてしまった弊害がこんな形で出てきてしまいました。

これは公認野球規則だけにとどまらず、おそらく殆どの重要規則に関しても多かれ少なかれある問題だと思います。

日本の社会が柔軟性を欠いて発展しない理由

日本の社会のそのルール作りの経験の少なさは、ルールの運用においても影響してきます。欧米社会はルールを作ってきた社会です。従ってルールの運用や、変更についても十分な経験があります。スポーツのルールにおいてもエンターテイメント性や安全性、競技者の有利不利等、様々な角度から常に見直しをしています。

しかし、日本は一度作ってしまったルールをなかなか見直すことができずに、合理的判断が遅れてしまいます。この傾向は様々な分野で見られており、日本の社会の発展を妨げている大きな原因の一つではないかと思います。

前例を大切にすることは必要ですが、前例に縛られることは無意味です。

「前例が有りませんので・・・」と言って否定する事が、皆さんの周辺でも常に起こっているのではないでしょうか。

この機会に野球界も改革を

今回の問題の決着は別にしても、日本の野球界は様々な分野で改革を進めていかなければならないと思います。未だに放映権などの既得権が野球界全体で上手に運用されていない実態は、野球界の発展を著しく妨げています。日米の選手の実力差以上に、球団経営の実力差はとても重要な問題なのではないでしょうか。アマチュア野球会も含めて、様々な問題に取り組むことが、野球界発展のために必要であると考えています。

親会社からの出向をある程度は受け入れるにしても、GM職などの球団幹部に本当の意味でのプロフェッショナルを養成する必要が、プロ野球界には必要であると思います。コーチングや戦術をMLBに学ぶ機会はあっても、球団経営をもっと学ぶ機会が必要であると考えます。

こういうところは、米国を見習ってほしいのですけどね・・・

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