年が明けてプロ野球キャンプインまであと1ヶ月を切った。
この時期はプロ野球の話題が少なく、新しい外国人の補強や、主力選手の自主トレが話題になっている。自主トレでは各選手がそれぞれの考え方で行い、若手は先輩に教えを乞う形で参加する場合が多い。
スカパー!プロ野球セット菅野投手に参加を依頼した藤浪晋太郎投手
阪神の主力投手が、巨人のエースに依頼したことで話題となったこの一件。素質を持て余している藤浪投手が再覚醒するために、菅野投手との自主トレがどの様に作用するのか注目を集めた。しかし菅野投手が自主トレは1月に入ってからではなく、12月からみっちり1ヶ月はやらないといけない旨を発言しているにも関わらず、藤浪投手の参加が1月上旬だということで、再び話題となっている。“何が何でも復活してやる”という覚悟がないなどの批判記事も目にするが、そこは結果で示せば良いことで、もしかしたら藤浪投手は12月中に菅野投手よりも激しい練習をしているかもしれない。
もともと藤浪投手はフィジカルに優れ、体力的なポテンシャルには問題がない選手とも言われている。投球フォームなどの技術的な問題も指摘されるが、よく言われているのはメンタルの問題だ。特に藤浪投手は右打者へのインコースに抜ける球が多く、デッドボールの危険性が高い選手だ。藤浪投手の160Kmにせまる剛球は、大怪我にもつながるためバッターに与える恐怖感は、他の投手とは比べようもない。昨シーズン前のオープン戦では、相手チームが怪我を恐れて右打者を先発させない事などもあった。相手チームとしては戦略の一つでは有るが、藤浪投手としたら右打者に投げる機会を奪われ、更に自身がなくなる可能性もある。
藤浪投手の現状の悩みを現役選手で解決できる投手の一人が菅野投手で有ることは、間違いない事実で、藤浪投手の選択は間違っていないだろう。そもそも菅野投手はデッドボールの少ない投手ではない。昨年も一昨年も7つを記録している。オリックスの山本由伸投手は昨年2個。同じ阪神の秋山拓巳投手は昨年3つ、一昨年は0だ。良い見本は同じチームに存在するのに、あえてライバルチームのエースに教えを乞うところに藤浪投手の考えがあると信じたい。
自立してリーダーとなる戸郷翔征投手
戸郷投手は地元の宮崎で、同期の戸田懐生投手、横川凱投手と自主トレを行っている。信頼する菅野投手からは、既に巣立っている状況だ。昨年オフは菅野投手がMLBへの移籍が予定され、巣立ちを余儀なくされた事情もあるが、既に菅野投手からは多くのものを吸収したと見るほうが正解かもしれない。今年はやり投げを取り入れたり、下半身強化を表明したりするなど、明確な目的も自主的に考えており、高卒4年目で投手陣のリーダーとなり得る自覚が見られる。結果がすべてのプロ野球なので、今シーズンの出来上がりが楽しみだ。特にゲームの後半や、シーズンの後半に失速した印象を取り除くために、戸郷投手が何を考えているのかが興味深い。
練習量より質とは言うが、それでも量は大切
広島の練習量
金本前阪神監督が広島の選手育成の能力の高さについて、その原因を聞かれ、“広島の若手は阪神の選手より10倍素振りをする。”と発言している。これは大げさな発言ではないとも付け加えているので、本当の事だろう。
落合中日の強さの秘密と阪神失速の原因
落合前中日監督は、昨シーズン阪神が優勝を逃した原因を“体力不足”と即答している。中日監督就任一年目のキャンプで六勤一休をとりいれて、見事優勝した。現役時代にあまり練習する姿を見せなかった落合さんだが、量は大切と断言している。森野、井端、荒木だけがその練習量について来たと発言し、やりたくない物には強制しなかったとしている。中日から一切の暴力行為を排除した、落合監督らしい姿勢だろう。
巨人の練習量の少なさが育成能力の弱さの理由?
移籍選手の証言
FAで巨人に移籍した広沢克己選手は、“甘えてしまった”と自戒している。大久保博元捕手は”ジャイアンツは自主性を重んじる大人のチーム。”という旨をコメントしている。
パワハラや暴力行為等が大きく取り上げられる現状で、自主的に練習量をこなす事が出来る選手がこれからは伸びてくるのだろう。
ジャイアンツは大人のチームと言われ、強要される練習量は広島や中日よりは少ないと推測される。その環境の中で自らを厳しく律して練習量を上げていくことは、精神的に成長しなければ難しいだろう。
原監督が目指す環境
原監督は自主性が問われる中で、チーム全体に厳しさをもたらし、自主的な練習量のアップを目指していると思われる。原監督が他チームからとってくる選手は、練習量が豊富で若手の見本となる選手が多い。そしてきつい練習に耐えられる、体の強い選手を好む傾向にある。
チームの中には常に選手感の競争意識が働くように起用法を工夫していることも、常に目指している部分で有ると思う。
今年の組織改革の中で、選手の練習量が自主的に増えていく環境をどれだけ作れるかが一つの見どころですね。