歴史的な投高打低の原因を考える 理由は何故か? 投手のスピード?

日本プロ野球は歴史的な投高打低です。球の反発係数が変わったのではという疑問もあるようですが、それだけではないでしょう。投手のレベルが上がりスピードボールが増えたからという説もありますが、今年に限った話ではありません。何故なのか考えてみたいと思います。

外国人野手が活躍できなくなった

パワーでホームラン王を外国人野手が独占していた時代は、遠くなりました。詰まりながらもパワーでスタンドまで運んでしまうスタイルが、通用しなくなっているということでしょう。パ・リーグのホームラントップの近藤健介選手は、171cmと大変小柄ですが、打率.352でホームラン13本と本来の力を発揮しています。シーズン半ばで13本ですので、中距離打者の近藤選手にしては実力通りで、むしろ他のパワーヒッターたちが沈んでいるという状況なのだと思います。芯に当てることが上手な近藤選手がパフォーマンスを落とさないのに比べて、詰まりながらもスタンドまで運んでいたパワーヒッターたちの打球は、明らかに失速しています。

村上宗隆選手も岡本和真選手も失速

WBCでアメリカ人にも負けないパワーを見せつけた二人ですが、本塁打は村上選手15本、岡本選手13本とシーズン30本ペースです。打率は村上選手が.230で岡本選手が.2554と低打率に喘いでおり、芯で捉えた打球が少なくなっているのではと推測します。言い換えれば芯で捉えられない当たりがオーバー・フェンスするどころか、外野の頭を超えたり、外野の間を抜いていくことができなくなっているのだと思います。

原因はバットにあるのではないか

昭和の時代に比べて現在のバットは900グラムを切る事がほとんどです。昭和の時代は1Kgのバットを使う選手もいたぐらいで、その差はかなり大きいと言っていいでしょう。ツーシームなどの動くストレートに対応するために、バットの軽量化は進んできたようですが、バットの強度は当然軽量化によって下がります。プロ野球の中継を見ていても、バットが折れるケースが多いですし、その折れ方も粉々になったり、真っ二つになったりと派手に粉砕されています。以前はバットが折れた時はバットでベースを叩いて、損傷を確かめたのですが、そんなことをする必要がないくらい、派手に折れており、強度が軽量化のために犠牲にされていると推測できます。

当然詰まった当たりでも、バットが軽いためにボールの威力に負けてしまうことはあるはずで、そう考えると最近のバットの軽量化が投高打低の原因の一つであることは、ほぼ間違いないと思います。

打者のレベルが落ちている

重いバットを扱えないということは、技術力が下がっていると言っていいと思います。速球と変化球に対応するために、軽いバットは扱いやすいとは思いますが、力負けするのは当然です。ある程度質量と強度があるバットを振って、速球にも変化球にも対応するのが難しいために軽量化が進んだようですが、限界が見えてきたのでしょう。昭和の時代は福本豊選手や大石大二郎選手など小柄な選手が重いバットを使っている印象がありますが、今は全員が軽いバットを使っているようです。

最近のバッターはウェートなどで体を作りますが、バットを振る力は衰えているのかもしれません。松井秀喜選手はフリーバッティングではマスコットバットを使っていましたが、そんな選手を見かけることは無くなったと思います。

軽いバットを振り込むよりも、重いバットを振り込むことが大変なのは明白です。練習では軽いバットで芯に当てれば飛ぶでしょうが、本番ではそんなに綺麗に当てることは難しいはずです。少しでも差し込まれたり、芯を外してしまえば、バットの強度が足りなくなり、打球が極端に失速しているのが、今の投高打の大きな要因の一つではないでしょうか。スピードを筋肉に覚えさせるために、軽いバットを振るトレーニングが推奨されていますが、バット自体が耐えられなければ意味がないでしょう。

バットの質は確保されているのか?

これは全くわかりませんが、以前よりも強度のある良い木材を手に入れることが、難しくなっているのかもしれません。昭和の頃は圧縮バットなどもあり簡単には比較できませんが、最良とされていたアオダモは枯渇してしまったようです。アオダモは成長が遅く、その分木目が詰まって、柔軟性と強度が確保されていたのではと推測します。メープルやホワイトアッシュ、最近ではバーチなどが使われているようですが、アオダモより成長が早いので、強度があるものの折れやすいなどの特徴があるようです。最近粉々になるバットが多いのは、素材のせいもあるのでしょう。

強度が足りないバットでは打球が飛ばないのは当然で、今の素材で強度を確保するためには、ある程度の質量が必要になるでしょう。

これからは本当の意味での強打者は、重いバットを軽々と扱えなければ、数字を残せないということになるのではと予想します。

体だけ大きくしても、振る力が無ければならないということですね。

やっぱり素振りは大切ですね。

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