2023年シーズンが終わり、通算17年間巨人の監督を務めた原辰徳監督が、辞任するという激震が球界を襲いました。しかし任期が長かったとはいえ、直近2年間は4位で、任期の途中で辞任に追い込まれる状況は、常勝を目指しているジャイアンツ特有の状況だと思います。逆に言えばもっと成績が上がらないのに、続投が決まっている監督が複数います。
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ともに連続最下位でありながら、新庄剛志監督も立浪和義監督も続投が決まっています。2人の立ち位置が必ずしも同じとは思いませんが、少なくとも直近2年間は結果を残せていません。そして個人的な見解ですが、決して来年も優勝を狙えるようなチームに、現段階で成長させる事ができたとはいえないと思います。
ファンの中の大部分は強いチームを求めており、立浪監督のシーズン終了の挨拶で怒号が飛んだのは、ある意味当然のことだと思います。
それでも応援したい立浪和義監督
ドラゴンズファンではないので熱心にゲームをフォローしているわけではありませんが、立浪監督がドラゴンズを強くしたいという気持ちで、力を尽くしていることは見て取れます。ドラゴンズファンではなくても、立浪和義のファンは少なからず存在しており、私もその一人です。立浪監督は長らく監督候補とされながらも、事情があったようで監督に指名されませんでした。球団もその事情がある程度解消されたところでの、監督指名であり、ドラゴンズの最終兵器とまで言っていい存在かもしれません。
しかし、ドラゴンズのチーム状況はかなり弱体化しています。投手陣が強力だと言われていますが、広いバンテリンドームに助けられている部分はかなり大きく、その逆効果で打撃陣は貧打線です。強かった時代は貧打の部分を優秀な外国人を据えることによって補ってきたのですが、MLBの選手のレベルの低下と円安が影響して、日本球界全体で優秀な外国人打者が取れなくなってきています。かつてドラゴンズが強かった時代は、両リーグのホームラン王争いは、殆が外国人打者でした。今年は20本打てた外国人打者はオスナとポランコの2人だけです。シーズンが始まる前に立浪監督はビシエドに長打を求めたようですが、わずか6本に終わりました。もっと言えば、チーム本塁打は71本と低調でした。これでは思い描いていた野球はできなかったでしょう。
かつてはジャイアンツに次ぐ資金量を誇っていたドラゴンズですが、親会社が新聞社ということで、明らかに衰えています。そんな状況を十分に理解しながら立浪監督は監督を引き受けたのですから、補強がままならないことも言い訳にできず、非常に苦しい状態だと言わざるを得ません。そんな事もじっと飲み込みながら、そしておそらくスタッフも言い訳しないようにしながら、2年連続の最下位は責められるものではないと思います。
ここからドラフト、現役ドラフトと資金に関係のない補強のチャンスがやってきます。昨年は現役ドラフトで細川成也選手を指名して大成功を収めました。ドラフトで指名した選手は不発でしたが、今年は期待できると思います。また、今年のドラフトは即戦力が目白押しです。ただ、投手に人材が集中しているようで、ドラゴンズには難しいドラフトになると思います。打者に即戦力が少ないので、ウェーバー順が早いとはいえ、一本釣りで確実に仕留めたいのではないでしょうか。
いずれにしろ来年は最低でもAクラスに入る必要があり、高校生を指名している余裕は捕手以外はないと思います。ドラゴンズのドラフトは大注目です。
トリックスターで終わって欲しくない新庄剛志監督
就任一年目で優勝を目指さないことを宣言して注目された新庄剛志監督ですが、連続最下位でいよいよ後がなくなりました。若手の成長に一定の成果が見えるので、なんとか成績を残してほしいものですが、ベテランの高年俸選手を定期的に放出する事が状態化しているので、なかなか優勝を狙える戦力になりません。今年もFAで流出する選手やMLBにポスティングを希望する選手の情報があり、監督としてなかなかつらいところです。しかし、そういう球団であることを十分理解しながら就任した経緯もあり、言い訳にはできません。だからといって常勝とはいかないまでも、最下位がずっと続くようでは、ファンも許してくれないでしょう。なんとか頑張ってほしいものです。
球団による経営努力の濃淡
球団によって資金力の差があるのは、致し方ないところです。資金量によって戦力の不均衡が起こらないように、ドラフト制度があるのですが、それに甘えて更に球団が資金集めを怠るようなことがあれば、MLBとの差は開くばかりです。このあたりは、是非一定の歯止めと、制度改定が必要ではないでしょうか。1企業で球団を持つことは、なかなか難しい時代だと思うのです。
管理職受難の時代のプロ野球の監督
一般社会ではかなり前から言われていましたが、本当に能力のある人間が管理職を望まなくなりました。能力のない人間に限って管理職になると楽をしようとする傾向があるのは、プロ野球も一般社会も変わらないでしょう。昭和の時代のように管理職は部下を使って楽をできるイメージが、令和の現在では全くありません。むしろ令和の時代の管理職は、管理能力から実戦能力まで必要とされる時代です。さらにパワハラ・セクハラと、管理職受難の時代と言っていいでしょう。
プロ野球でも監督の能力があり、スキャンダルの可能性がない人材はかなり少ないのが現状でしょう。その上、日本ではスター性と集客能力まで求められます。
その意味で行くと、ドラゴンズもファイターズも現状の監督以上の候補が雇えないというのが実情ではないでしょうか?
資金難や球団の方針を呑み込んで、引き受けてくれた二人の監督を、おいそれと動かせないのが本当のところではないかと思います。
ファンは火中の栗を拾ってくれた、立浪監督や新庄監督を責めるよりも、企業努力が足りないと推測される、球団フロントに疑問をぶつけてほしいと思います。
皆さんどう思われますか?