トム・ブレイディの引退とともに、NFLは新時代に突入したようです。ブレイディが引退するまではスーパーボウルを勝つならば、ポケットパサーでなければ無理だと考えていたのですが、パトリック・マホームズの登場により、モバイルQBがスーパーボウルへの絶対条件になりつつあります。
株式投資の学校ブレイディ以前のNFL
QBは脚力がなくてもパス能力があれば、スーパーボウルへ到達できるというのは歴史が証明していました。ポケットパサーの名QBといえば、ジョー・モンタナ、ダン・マリーノ、ペイトン・マニングなどが浮かびますが、脚力は並でした。もっと遡れば、ジェッツのジョー・ネイマスは膝の怪我でほとんど動けませんでした。それでもそのゲームメイキングの能力や、終盤戦の勝負強さを、優秀なポケットパサーが持っているというのが常識でした。
モバイルQBの怪我
かつて脚力を誇ったQBが、数多く出現しました。ランドール・カニンガムはリーサルウェポンと言われ一世を風靡しましたが、ポケットパサーには実績で劣っています。他にもマイケル・ビックやロバート・グリフィンⅢなど数多く出現しました。しかし、登場して暫くはその運動の力の高さから、規格外のラン能力を発揮して注目されるのですが、パスの能力が向上せずに、無理なスクランブルなどから怪我をしてしまうということが、多かったと思います。怪我から復帰後は再度の怪我を恐れて、ラン攻撃を封印するのですが、パスの能力が上がらずに消えていってしまうというパターンが多かったと思います。
現在においてもその様な傾向にあるモバイルQBは少なくありません。
パトリック・マホームズの出現
モバイルQB のイメージを大きく変えてしまったのは、間違いなくマホームズでしょう。マホームズのラン能力は他のモバイルQBにも決して劣らず、パス能力はNFLを代表するポケットパサーにも負けていません。そんなスペシャルな存在のマホームズの出現によって、NFLはすべてが変わってしまったと言っていいと思います。
現在のマホームズを止めるためには、優秀なEDGEラッシャーが常にプレッシャーを掛け続けなければなりません。ただ速くて強いだけではなく、マホームズをポケットから出さないようにラッシュをかける忍耐強さも必要になってきます。そのためNFLではEDGEラッシャーの需要が強く、カレッジでも優秀な素材をEDGEにする事が常道となっています。また、優秀なEDGEをフレッシュな状態で保つため、強いチームは優秀なEDGEを複数枚用意しているのが現状です。そのため最近のドラフトでは、大量のEDGEが1巡指名される傾向にあるのは、間違いないでしょう。
マホームズとラマー・ジャクソンがNFLを進化させた
カレッジはもともと走れるQBが多かったのですが、最近はパス能力が高いQBが増えてきました。そのためNFLにもパス能力が高いQBが増えてきています。最近の若いQBにはパス能力が高いモバイルQBが増えています。特にラマー・ジャクソンは、デザインされたランプレイやオプションを普通に使っています。怪我のリスクはありますが、デザインされたプレーは無理さえしなければ、スクランブルよりはリスクが少ないかもしれません。やはり一番怪我をするのは、ブラインドサイトからのサックとサードダウンでのスクランブルだと思います。そのラマー・ジャクソンを止めるためNFLのディフェンスは大きく進化しました。逆に言えば優秀なモバイルQBを抑えるために進化したディフェンスは、ポケットパサーを以前よりも容易に仕留められるようになったということです。
ブレイディの引退後に、ジャレット・ゴフやマット・ライアンなどが失速してしまったのは、ディフェンスの進化があると思います。
ペイトリオッツとレイダースのオフェンス
ビル・ベリチックはブレイディを擁して、ペイトリオッツ王国を築き上げました。その時にOCを務めていたのが、今のレイダースのHCジョシュ・マクダニエルです。彼らはQBに大きな投資をしないことで有名ですが、ここ数年明らかに成績が悪くなっています。特にレイダースは今年のドラフトでポケットパサーであるQBエイドリアン・オコネルをドラフト4巡で指名しました。しかし、結果はいまだに出ていません。チームの成績はペイトリオッツもレイダースも振るわずに、HCマクダニエルはシーズン途中で解雇の可能性も取り沙汰されています。
来年のドラフトはQBが豊作
今年以上にQBが豊作と言われる2024年のドラフトは、1巡中位でも優秀なQBが残る可能性が低くないと思います。レイダースとペイトリオッツの成績であれば、十分なドラフト指名権が取れると思います。カレッジの試合を見ていると、すぐにでも活躍できそうなプロスペクトが少なくないと思います。
レイダースとペイトリオッツが進化するためには、来年のドラフトが転機となると予想します。