1年目に新人記録を達成し、クローザーとしてWBCにも選出された大勢投手ですが、今現在は見る影もありません。サイド気味から勢いの有る球を投げていた大勢投手ですが、今年は上肢のコンディション不足ということで、実戦から2ヶ月ほど離れていましたが、復帰後は連続して失点してしまっています。昨晩はタイガースに2本のホームランを献上するなど、もうクローザーとしては使える段階ではないと思います。
株式投資の学校そもそも故障は癒えたのか?
ファームで実戦復帰をして157kmを計測したようですが、ファーム2試合目は失点をしています。クローザーであれば圧倒的なパフォーマンスが必要だと思いますが、いささか首脳陣の焦りがあったのではないでしょうか。CS争いが佳境を迎えた中で、大勢投手が万全で加われば非常に大きいことがわかります。しかし、1軍での結果を見るまでもなく、ファームでの投球で、無理と判断してほしかったと思います。
1軍での投球は150kmを超える球速は記録しているものの、明らかに押し出すようなフォームで、故障を怖がっているように見えます。故障の怖さから腕を切ることができないのであれば、いかに150kmを超えていても痛打されるでしょう。実際に各打者は150km超のストレートをファールにすること無く、一撃で仕留めています。これはかなりの重症で、もう今シーズンの登板は無理なのではないでしょうか。
投手は打者と違い無理が効かない
打者はフルスイングできなくても、タイミングさえ合えば相手投手の力を利用して飛ばすことができます。つまり多少故障していても、実戦では良いパフォーマンスを残すことができます。毎日のように出場する打者たちは、何処かに必ず怪我を抱えながら、シーズンを過ごしているはずです。しかし、投手は万全でなければ良いパフォーマンスは残せません。投手の投げる球から野球は始まるので、投手は相手の力を利用することができず、体や心に不安を抱えたまま投げることは難しいでしょう。
このあたりが打者出身の監督には、理解不能なのかもしれません。
打者の場合は多少の不安を抱えていても、必死にやることで解決する場合もあるでしょう。多少何処かに力が入らなくても、対応策は一流なら有ると思います。しかし、投手の場合はそれはないと思います。投手の故障は投手生命を脅かす場合もあり、肩などの故障は肘と違い、球威が戻らなくなるケースも有るようです。肘の場合でもトミー・ジョン手術は復帰までに時間がかかり、ノーリスクではありません。
打者の場合は故障を直しながら出場を続けることができますが、投手の場合は投手生命に関わります。もし、大勢投手に怖さが有るのであれば、火事場の馬鹿力で局面を乗り切っても、必ず負担が体に来ます。
大勢投手は150km超のストレートを投げていますが、決して全力投球ができる状態ではないのだと思います。クローザーはそれほど甘くないというのは、誰でもわかることでしょう。
まだ残るジャイアンツの古い体質
優勝したオリックス・バッファローズをはじめ、現代の野球にいち早く対応した球団は、投手王国を作り始めています。セ・リーグ優勝の阪神タイガースも、決して救援陣に無理はさせていません。オリックスが主砲の吉田正尚選手をポスティングで出してもなお優勝できたのは、投手の育成能力とリスク管理能力にあることは、衆目の一致するところでしょう。
タイガースの岡田監督も、今年は早くから独走を始めたので、救援陣を大切に使っています。優勝を逃したジャイアンツとは育成能力もさることながら、リスク管理能力が大きく違うと言っていいでしょう。
昭和の時代は優勝をするために必ずと言っていいほど、中継ぎ投手を一人や二人潰してきました。優勝するためにはそれが当たり前で、意気に感じて腕を振る投手は必ず存在していました。しかし、そんな時代は、JFKの頃から変わり始めています。最近では1イニング限定で、3連投はしないというのが常識となりつつあります。
そのあたり、長期的目線を欠くジャイアンツは、回跨ぎや3連等を屡々使います。投手目線からすれば、自分を大切にしてくれる球団はジャイアンツとタイガースのどちらでしょうか?自分を大切に扱ってくれない首脳陣を、選手はどう思うのでしょうか?
誰でも考えることは同じですよね。
ブラック企業よりもホワイト企業を長く勤める気ならば、誰もが選択するでしょう。優勝に向かうに当たって、投手たちの気持ちはタイガースとジャイアンツでどちらが盛り上がるでしょうか?
誰だって優勝はしたいですが、しかしそのために選手生命を縮めてしまっては、意味がありません。最近の若い選手は、当然このぐらいのことは分かっています。
FAでジャイアンツに来る選手が来なくなったことの理由は、このあたりにも有るかもしれません。
FAでジャイアンツが獲得した投手は、殆が故障で活躍できませんでした。活躍できたのは先発から外れなかった工藤公康投手と山口俊投手だけなのも、偶然ではないでしょう。
連投できるかできないかではなく、大切にするかしないかが、人の気持ちを変えていくと思うのです。