ここまで2勝5敗で苦しんでいたセインツに、まさかの完封負けでした。ラン攻撃に活路を見出してチーム力が上がってきたと思われたレイダースですが、レイダースのHCを解雇されたデニス・アレン率いるセインツに、なす術無くやられてしまいました。
1 | 2 | 3 | 4 | OT | ||
Raiders | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
Saints | 7 | 10 | 7 | 0 | 0 | 24 |
セインツのディフェンスを破れず
レイダースのHCの経験があるデニス・アレンは、もともとはディフェンス畑の人です。そのデニス・アレンのチームに完封負けとは、なんとも後味が悪い負け方でした。終了直後のデニス・アレンの派手なガッツポーズは、因縁めいたものを十分に感じさせるものでした。
このゲームが始まるまでラン守備22位、パス守備16位、トータル14位のセインツの守備は、ランに弱く、負け越しているチームのディフェンスのスタッツの典型と思えるものでした。当然のようにHCアレンは、好調なRBジョシュ・ジェイコブズを止めに来ました。22位のラン守備でRBジェイコブズを止めに来るのですから、プレイアクションからのパスなどが効果的に決まらなければならないのですが、今日のQBデレク・カーは101ヤードに抑えられてしまいました。まるでQBカーの弱点を完全に見透かされたような試合運びとなり、HCデニス・アレンとしては、レイダースでのHCとしての失敗の原因を、自分ではないと証明したかのような皮肉な結果になってしまいました。
ランが出ない時の弱さ
直近の3ゲームでランが効果的だった時は、安定した試合運びでした。しかし、ランを抑えられると、パスが全く決まらないようになってしまいました。OLはこのところ安定しており、フォルススタートやホールディング等のペナルティも少なくなってきているのですが、早いタイミングのパスが決まりません。
CAR | YDS | AVG | TD | LONG | |
Josh Jacobs | 10 | 43 | 4.3 | 0 | 16 |
Derek Carr | 1 | -1 | -1 | 0 | -1 |
Davante Adams | 1 | -1 | -1 | 0 | -1 |
Matthias Farley | 1 | -3 | -3 | 0 | -3 |
ハーフタイムで戦術をアジャストできるか注目していたのですが、早々に24点差となり、ラン攻撃をする時間的余裕が無くなってしまいました。こうなってくると今のレイダースのパス攻撃は、進むことが出来ません。結局4Qのツーミニッツ・ウォーニングまで、敵陣に入れない酷い状態でした。ここまで見せ場がないと、最後まで見るのが辛くなるような試合でした。
HCジョシュ・マクダニエルの去就
ここまで結果が悪いと、HCの去就問題になってしまうかもしれません。個人的にはGMジグラーとのコンビでドラフト指名から立て直して欲しいと思っているのですが、そこまで持つかどうか心配になってきました。
レイダースファンのフラストレーションの一つであった、ペナルティーは格段に少なくなり、チームの規律は上がっていると思います。この試合で今シーズン最初のパスインターフェアーが記録され、あれほど昨年まで連発していたことを考えると、チームは確実に整備されてきていると思います。
今日のセインツには、プレイアクションのパスが決まるかどうかが鍵でした。フォーメーションが悪いのか、カーのプレイアクションが悪いのかわかりませんが、まったくWRがフリーになれなかったようです。相手のHCアレンにプレーを読まれたような気がして仕方がないですが、本当にきれいに止められてしまいました。
何れにしても、まだHCマクダニエルの能力の底が見えていない状況で、GMとセットで活きる人事であったはずなので、もう1シーズンは様子を見たいと思うのですが、どうでしょうか。
QBデレク・カーとの未来について
NFLは急速に進歩しています。特に最近はポケットパサーでありながら、脚力も十分にある若手QBが増えてきました。そのような若きエリートQBと戦うために、NFLのディフェンスは格段にレベルが上がってきていると思います。
Player | CP/ATT | YDS | TD | INT | QBR |
D.Carr | 15/26 | 101 | 0 | 1 | 14.0 |
J. Stidham | 8/13 | 72 | 0 | 0 | 38.0 |
A. Dalton | 22/30 | 229 | 2 | 0 | 72.4 |
T. Hill | 1/1 | 2 | 0 | 0 | 65.0 |
今日のセインツのパスラッシュは、脚力のあるQBをサックするために、抜け道が出来ないようなラッシュを掛けていたと思います。脚力のあるQBをカップから出さないようにするために、統率の取れたパスラッシュをするチームが、脚力のないドロップバックパサーを仕留めるのは、簡単なことかもしれません。今日の3つのサックはQBカーには逃げ切れないような、隙きのないラッシュだったと思います。QBカーにQBパトリック・マホームズのような機敏さや、QBジョシュ・アレンのような力強さは無く、無理な体勢でのパスや、コントロールの甘いパスが出てしまいました。QBブレイディの様に横目でラッシュを見て、小さな動きで交わしながら同時にターゲットを探すことが、QBカーには難しいのかもしれません。今日のスタッツはHCマクダニエルのコールの悪さのせいには出来ない部分が、かなり有ると感じます。
今年は昨年とは違いドラフトには優秀なQBが出てきそうです。昨年は1巡にふさわしい素材が少なく、HCマクダニエルには選択肢が有りませんでしたが、今年は勝負をかけても良いのではないでしょうか。
スーパーボウルを取りに行くためには、QBカーのように良いQBでは無く、本当のエリートQBが必要になります。
もしQBカーでスーパーボウルを取りに行くならば、パスオフェンスではなくランオフェンスに資金をつぎ込む必要があると思います。QB、WRといったスキルポジションよりも、OLやデフェンスに投資が必要ではないでしょうか。
今年は多くのスキルポジションに投資をしてしまいましたが、今のところ期待通りの働きに近いのは、WRダバンテ・アダムズだけではないかと思います。
次の試合はHCマクダニエルとQBカーの将来に、直結する試合になるかもしれません。