ジャイアンツが守備の乱れから惨敗しました。内野守備の乱れと、外野の緩慢なプレーで自滅してしまいました。こうなると原監督の起用のミスが指摘されますが、多分このぐらいの守乱は原監督の想定内だと思います。何故原監督は守備を軽視するのでしょうか。
東京ドームを本拠地として打ち勝つ野球
ジャイアンツの本拠地東京ドームは左中間・右中間の膨らみが少ないのでホームランが出やすいと言われています。バンテリンドームの様にホームランが出にくければ、守備を疎かにはできませんが、外野が狭くホームランが出やすい東京ドームは、同時に外野手に要求される守備範囲が狭くなります。そのためジャイアンツの外野手は守備力を軽視される傾向にあります。昨日のゲームでも両翼の新外国人の守備力はあまり高くなく、ウォーカーの緩慢なプレーは目立ってしまいました。抜群の守備範囲を誇っていても、フェンスを超えてしまえば宝の持ち腐れということでしょうか。特にレフトについては歴代、守備力の高くない選手を無理やり使うことが数多くありました。張本勲さんやマルティネスなど打力重視の起用だったことは、間違いありません。
二遊間の守備軽視
これもジャイアンツの傾向として見られます。本拠地が人工芝ということもありますが、セカンドが定着しないのも守備力を軽視しているからだと思います。坂本勇人選手が類稀な攻守の能力を兼ね備えているので、理想が高くなりがちですが、優先順位が攻撃寄りになっているのは事実でしょう。セカンドも高いレベルで攻守に力を発揮した篠塚利夫さんがいたので打力を求められがちですが、優先順位を攻撃寄りにしなければ、仁志敏久さんは巨人から移籍することはなかったのではないでしょうか。
吉川尚樹選手の代役としての廣岡大志選手の起用
年度 | 所属 | 試合 | 打席数 | 打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁刺 | 四球 | 三振 | 打率 | 長打率 | 出塁率 |
2016 | ヤ | 2 | 7 | 7 | 3 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.429 | 0.857 | 0.429 |
2017 | ヤ | 11 | 31 | 28 | 7 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 11 | 0.25 | 0.286 | 0.323 |
2018 | ヤ | 45 | 125 | 115 | 24 | 2 | 10 | 0 | 0 | 5 | 36 | 0.209 | 0.313 | 0.24 |
2019 | ヤ | 91 | 243 | 202 | 41 | 10 | 25 | 1 | 1 | 33 | 77 | 0.203 | 0.391 | 0.319 |
2020 | ヤ | 87 | 142 | 121 | 26 | 8 | 15 | 4 | 0 | 16 | 43 | 0.215 | 0.446 | 0.302 |
2021 | 巨 | 78 | 117 | 106 | 20 | 5 | 15 | 2 | 1 | 7 | 25 | 0.189 | 0.387 | 0.256 |
2022 | 巨 | 9 | 16 | 13 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 4 | 0.154 | 0.231 | 0.267 |
1軍通算 | 323 | 681 | 592 | 123 | 26 | 70 | 7 | 2 | 65 | 198 | 0.208 | 0.383 | 0.29 | |
2軍通算 | 353 | 1457 | 1294 | 309 | 45 | 174 | 32 | 19 | 130 | 375 | 0.239 | 0.4 | 0.311 |
昨日は大切な場面でミスを重ねてしまいました。活躍を続ける吉川尚輝選手の体調を考慮しての起用なので、頷ける部分はあります。ましてや相手先発が左投手だったので、廣岡選手の長打力に期待したのでしょう。しかし、廣岡選手は昨年の打率が.189、今年もここまで.154です。2軍での通算打率も.239とあまり期待できる打力ではありません。長打力に期待しているのでしょうけれど、守備力と天秤にかけられるほどの期待値は無いのではと思います。。
ヤクルトと巨人の二遊間に対する考え方
宮本慎也さんがコーチを務めていた2017~2019年にヤクルトに所属していたにも関わらず、守備力が向上しなかったので、ヤクルトからは将来性がないと考えてヤクルトは放出したのでしょう。二遊間の守備力を巨人とヤクルトがどの様に考えているかが、田口麗斗投手と廣岡大志選手のトレードに現れたのではないでしょうか。坂本勇人選手が監督をするようになればこの考え方は変わると思いますが、現状の巨人は守備の達人であった篠塚さんや仁志さんをコーチに加えていない時点で、守備軽視が見て取れます。
原監督の守備に対する考え方
原監督も長打力優先が色濃く出る采配をします。レフトやファーストならばわかりますが、それも程度問題です。ましてや守備の要の二遊間で、守備を軽視するのはどうなのでしょうか。
原監督も守備重視で自身のデビューはセカンドでした。当時の営業サイドへの配慮もあったのかもしれませんが、当時の藤田元司監督も苦渋の決断だったと思います。しかし、中畑清選手が怪我により離脱したことによって、原辰徳選手はサードにまわり、守備の名手の篠塚利夫選手がセカンドを守ることになりました。藤田監督にはシーズン前から理想の守備陣として見えていたはずですが、選手の気持ちや営業サイドのことを考えての起用だったと思います。当時の原辰徳選手と篠塚利夫選手とのセカンドでの守備力の差は、圧倒的なものがありました。
しかし、当時の原辰徳選手にはその差があまり見えていなかったのではないでしょうか。
投手の気持ちがわからないベンチ
その守備に対する軽視が、今の起用法にも現れているのではないでしょうか。スーパーエースが守備の乱れをカバーする事は、江川卓投手や菅野智之投手にはたやすくでき、それがエースたる所以と言えるかもしれません。しかし昨日は故障上がりの、デビュー2戦目の堀田賢慎投手です。本来であれば元木ヘッドあたりが、守備力重視を進言しなければなりませんが、残念ながら元木ヘッドも守備の名手だったというわけではなく、守備の本当の価値が解っていないのかもしれません。
打つだけではなくベンチワークで得点を
長打力頼りで走力にかけるジャイアンツ打線は、ベンチが仕事をしません。好投手の攻略も打者任せで、策なく敗戦を重ねることが多くなります。広島の九里亜蓮投手を攻略できずに元木ヘッドが後1本が出ないと嘆いていましたが、後1本が出ないのが力の差だと理解し、作戦や揺さぶりをベンチが仕掛けて攻略して欲しいと思います。セフティースクイズを仕掛けるなど、ベンチが選手に責任転嫁をするような采配が目立つのが残念なところです。