MLBのオーナー会議が指名代者制を、今季からナ・リーグにも導入する方針を発表しました。長年議論されてきたDH制ですが、米国では半永久的な決定として答えが出たようです。今後この流れはアマチュア野球などにも影響していくことになり、WBC等の国際大会も同じ流れになることは、必然でしょう。
スカパー!プロ野球セットセ・リーグも導入になるか
MLBで投手が打席に入ることがなくなれば、セ・リーグでも同様の流れに抵抗することはできないでしょう。今年すぐにというわけでは有りませんが、来年にはDH制の導入になるのではないでしょうか。メリットやデメリットが今まで議論されてきましたが、簡単にここまでの議論をまとめてみたいと思います。
DH制のメリット
投手が打撃やバントをしなくて済む
投手が投球に専念できることから、より投球のレベルが上がるとされています。同時に投手がランナーに出ることも無くなり、怪我の心配をしなくて済むことになります。野手の場合は多少の怪我や故障を抱えても、プレーすることが出来るためアグレッシブな走塁をできますが、投手の場合は怪我や故障で投球できなくなる可能性が高いため、どうしても走塁が全力ではできません。ファンによっては投手の走塁が、興味を削ぐことになっていたかもしれません。
レギュラーが1枠増える
選手にとっては有り難いことです。これはプロ野球に限った話ではなく、アマチュアでもレギュラーをひとり増やすことが出来る事は、メリットが大きいでしょう。プロ野球においてのDHは年俸の高いポジションで、球団の資金に負担がかかるかもしれませんが、エンターテイメントとしてのコンテンツの価値は、より充実の方向に行くのではないでしょうか。
選手の負担が減る
レギュラーで疲れが溜まっていても、DHを利用すれば出場が楽になります。また、守備力の衰えからポジションを失っても、打撃に磨きをかければ選手生命が長く続くかもしれません。
DH制のデメリット
以前、岡田彰布さんが、DH制は野球がつまらなくなるとコメントしていました。DH制になると監督がゲーム中にやることが、極端に少なくなるという趣旨のようです。それに加えて代打が少なくなるので、控え選手の活躍の場も少なくなる事にも言及していました。確かにチャンスで投手が回ってきた時の駆け引きは、ファンにとっても見応えが有りました。しかしその駆け引きに魅力を感じるのは、オールドファンだけかもしれません。チャンスで投手が凡打することによって、ガッカリするファンも居ることは否定できません。
DH制の意外な影響
セ・リーグにDH制が導入されれば、意外な影響が出てくるかもしれません。
通算勝利数 | 年齢 | |
田中将大 | 181 | 33 |
石川雅規 | 177 | 42 |
ダルビッシュ有 | 172 | 35 |
前田健太 | 156 | 33 |
涌井秀章 | 150 | 35 |
和田毅 | 148 | 40 |
岸孝之 | 141 | 37 |
内海哲也 | 135 | 39 |
金子弌大 | 129 | 38 |
菅野智之 | 107 | 32 |
2022/2現在 |
投手の通算勝利数には、大きく影響があるのではないでしょうか。DH制が導入されれば、先発投手が代打を送られて降板することは少なくなります。今までは同点や1点ビハインドで代打を送られてしまうケースでも、続投後に味方の援護が有り勝ち投手になれるかもしれません。現役投手の通算勝利数を見ると、パ・リーグで長く活躍した選手が多いのは偶然ではないと思っています。
また2000本安打もDH制の導入によって、達成の可能性が大きくなることは間違いないでしょう。パ・リーグにはDH制のおかげで通算安打数を伸ばすことができた選手は、少なくありません。
坂本勇人選手の3000本安打と本塁打王
また守備を考えずに走れなくても長打力を磨く選手などが増えて、セ・リーグでも本塁打数が増えていく可能性もあります。晩年になって走力を捨てて、長打力の強化の方向に向かう選手も数多くいます。
45歳になった坂本勇人選手が、DHで本塁打王になる可能性だってありますよね。
3000本安打の可能性も高くなる、と言えるのではないでしょうか。
ファンにとっては、楽しい夢が増えるのではないでしょうか。