菅野智之投手が右肘の違和感のため登録抹消となった。患部の不安が払拭されるまでファームで調整を続けると発表された。1回飛ばしぐらいになると原監督はコメントしているが、ハッキリとはわからない状況だ。
離脱の原因
9年目を迎えている菅野投手は、今まで長期の離脱を経験していない。9年の間に小さな故障を克服しながら、フォームを変えるなどして対応してきた経緯がある。腰の故障から上半身主導のフォームに変えた経緯があり、今年はプレートの1塁側を踏む事にした。勤続疲労は当然有り、最近の日本の球場はマウンドをメジャーリーグに近い硬いものに変えており、硬いマウンドは投手の体に負担を掛けていると言われている。様々な状況の中で、投手の寿命は縮められる。最近は打者の選手生命はトレーニングの発達等により、伸びている傾向にある。2000本安打を達成する選手は着実に増えている。しかし投手の寿命は打者ほど伸びていない。2000年以降は4人しか達成していない。この様な状況の中で長期離脱をするのはある意味必然だ。
菅野投手がいない2021年シーズン
もともと今シーズンに菅野投手はいないはずだった。コロナ禍による混乱で菅野投手は、メジャーリーグへの挑戦ができなくなった。楽天の田中投手も同様の理由から、日本でのプレーを選択している。菅野投手がメジャーに行く可能性があるのは、1年以上前から予想できたことで、巨人はこの状況に準備ができていなくてはならない。来シーズンにメジャー移籍が可能となった時のことも想定して、動いていなければならないはずで、開幕前に田口投手を放出したことからその目途は立ったものと思っていた。ドラフト2位でトミー・ジョン手術を受けて1年間投球ができない山崎投手を指名したのも、菅野投手離脱後の手当ができている余裕があるのだろうと考えていた。今回の離脱によって球団の計画が強化される時が来たといえる。ここで菅野投手が離脱したので対応できないということでは、計画性がなさすぎる。この離脱を優勝を逃した時の言い訳にはできない。
既存戦力の底上げ
サンチェス投手、戸郷投手、今村投手、畠投手の4投手は、菅野投手の穴を埋める成長が見られていない。次世代のエースと見られていた戸郷投手は、低迷している。2年目で昨年を上回るパフォーマンスを期待されていたサンチェス投手も、相変わらず好不調の波が大きすぎる状態だ。高橋優貴投手のみが昨年を上回るパフォーマンスで、成長の跡を見せている。これらの中堅・若手投手の成長を促せていないのはコーチの責任と言わざるを得ない。菅野投手の離脱をバネにして、飛躍的な成長を期待したい。
新戦力の出現
今年は1人も新戦力が機能していない。ドラフトで指名した選手は、誰一人1軍での戦力になっていない。広島や阪神は複数名1軍で活躍しているが、巨人は1人もいない。また、ファームの選手も、投手の底上げができていない。2軍でも苦戦している投手が多く、2軍で圧倒するような成績が挙げられなければ、優勝を目指すチームの戦力にはなれない。ここでもコーチの手腕が期待される。
巨人は育成能力とドラフト戦力に疑問符が付けられることが多い。今年はその傾向が投手部門に特に出ていると言われる。3軍制を取り入れたが、投手部門に限って言えばその効用について、問題があると言わざるを得ない。スカウトや育成担当のコーチの評価はどうなっているのだろうか?