巨人とジャイアンツファンの乖離について　何故弱い？でも応援する？

球界の盟主の巨人軍

長らく球界の盟主として君臨していた巨人が、その座から滑り落ちていく。

日本シリーズで2年連続スイープされて、ソフトバンクに完敗したあたりから雲行きが怪しくなっていた。そしてシーズン終盤に失速する姿に、ファンの気持ちが離れてしまっている。失速の原因、ファンの臨むものとの乖離は一つや二つではない。

若いファンの気持ちがわからない球団

巨人は若い世代のファンの比率が少ない。50代以上のファン層の比率が他球団に比べて高く、若い世代の意見が通りにくい。若い世代はネットで情報を得て発信する。新聞やTVから情報を得るのは、年配の世代であることは既に常識だ。

巨人の親会社は言うまでもなく、オールドメディアの代表である読売新聞だ。そして日本テレビもオールドメディアである。したがって巨人が一番大切にしなければならないファンは若い世代ではない。若い世代の意見はネットのコメントでは見られるが、それは球団幹部には耳には届いても響かない。巨人という球団が最も恐れるのは、新聞の購読中止、スポンサーのTVCMの中止、視聴率の低下だ。（かつて長島監督が解任されたときに100万部減ったという噂が流れ、読売新聞は否定した。）

現在の球団幹部は新聞が購読されて、TVが視聴される限りは安泰で、若い世代がネットでいくら騒いでも短期的には問題ないのである。

弱い巨人　ジャイアンツファンも大荒れ　本当のファンとは何ですか？

長期的視点の欠如

かつてはTV放送が地方では巨人戦だけだったので、巨人は全国的に人気があった。今でもその影響は年配の世代を中心に残っている。しかし現在は地上波の放送は激減し、ファンは有料放送を視聴している事が多い。偏った放送はなく、どの球団の試合もTV観戦する機会は増えている。フランチャイズ制も浸透し、各チームは地元のファンを充実させている。

相対的に見れば巨人ファンの割合は減ってきている。東京という大きなマーケットを本拠地にできるメリットは大きいが、若い世代を大切にしなければ、巨人がファンの数で阪神やソフトバンクに抜かれるのはそう遠くない話だ。

若い世代が大切にするもの信じないもの

新聞やTVを信じない

若い世代はマスコミの影響を受けづらい。新聞やTVが言うことがすべて真実だと考える割合が、50代以上の世代よりも圧倒的に低い。読売新聞の発表やイメージ戦略が、通用しないのが若い世代だ。そして新聞やTVはネットしか見ない若い世代は現状の顧客ではないので、軽視しがちだ。ますます若い世代は、新聞やTVから離れていってしまう。政治の世界のシルバーポリティクスと相似形の状況だ。

大切にするのは育成の過程

若い世代はFAに批判的な意見が多い。何故か？

若い世代は育成の過程を大切にするマインドが植え付けられている。

若い世代が好むものを見ていればそれは明らかだ。

若い世代が好むものの一つにゲームがある。そして育成要素が大きなやりこみ要素の一つとなっている。野球やサッカーのシミュレーションは当然のことのように、選手の発掘から育成に重きをおいてプレイヤーを囲い込む。時間と金銭をかけて育成したキャラクターやチームに、愛着を抱くのである。

ゲームだけではない。AKBなどのアイドルも同様の要素がある。人気のない頃からの推しのメンバーを粘り強く応援して、その成長を喜ぶのである。これはAKBだけでは無く、ジャニーズなども同じで、レコードデビューする前から露出させてファンを獲得していき、CDデビューを一つのイベントとしてファンを囲い込むのだ。そしてその成長をずっと見守ってきたファンは、多少のことでは離れてしまうことはない、ダイハードファンである。

今が真価を問われる巨人の育成能力

今巨人は若い世代が大切にするものの価値を認識しなければ、未来はなくなる。ファンの気持ちを大切にする。ファンあってのプロ野球などというコメントを選手や球団から聞くが、上辺だけで寄り添った気になっていても、ファンは正直だ。もうすでにその傾向が出ていることに気が付かなければ、手遅れになってしまう。