2024年の日本プロ野球のストーブリーグも大詰めを迎えています。今年はFA宣言した選手が豊富で、久しぶりに賑わっています。今年ジャイアンツが興味を示しているのは、ソフトバンクホークスの甲斐拓也捕手と阪神タイガースの大山悠輔選手のようですが、それぞれ必要な選手だというのが個人的な見解です。
甲斐拓也捕手の放出は背番号19の影響?
優勝チームであり金満と言われるほど資金力が高いホークスから甲斐捕手が出るとなれば、予想外の展開と言っていいでしょう。昨年オフに複数年契約を結ばなかった時点で、煙は立っていましたが、まさか本当に宣言するとは思いませんでした。地元とも言える大分出身で、育成から這い上がった甲斐捕手はホークスを代表する選手であり、お亡くなりになった野村克也さんが背負っていた背番号19を受け継いだあたりまでは、放出の臭いは全くしませんでした。しかし、同じく育成からのし上がった千賀滉大投手のコメントなどを聞いていると、移籍時に円満という感じがしなかったこともあり、何か外部からは解らないことがあるのかもしれません。
ホークスといえば南海時代にチームの中心でプレイングマネージャーまで務めた野村克也捕手が、喧嘩別れのような形で放出されたことがチラつきます。背番号19を背負った甲斐捕手がもし放出されるのであれば、なにか因縁めいたものを感じてしまいます。
甲斐拓也捕手のジャイアンツでの必要性
何が一番欲しいかといえば、甲斐捕手の頭の中身ではないでしょうか?ソフトバンクに8連敗を喰らった日本シリーズは、甲斐捕手にやられたという印象が強くあります。「ジャイアンツの打者はストレートが打てない。」と甲斐捕手はコメントしていたようですが、実際にどの様に対策を立てられていたかを、何より阿部監督は知りたいはずです。原前監督時代に阿部監督も要職で日本シリーズを戦っており、次回対戦する時に8連敗はチラつくはずです。もし甲斐捕手がジャイアンツに入ってくれれば、少なくともあの時の悪夢を払拭できると考えても不思議ではありません。
さらに言えば現在、次世代の捕手の一番手である、山瀬慎之助捕手の育成にも甲斐捕手は重要なポジションを取ることができます。オフには自主トレをともにしている山瀬捕手は、まだ23歳で32歳の甲斐捕手とは、実力的にライバル関係とは言えません。今ひとつ突き抜けない山瀬捕手の教育係としても、甲斐捕手はうってつけの選手だと思います。
競争心が足りない?ジャイアンツ捕手陣
ジャイアンツの捕手陣はとても仲が良いので有名です。それぞれギスギスした性格ではなく、大城卓三捕手はおっとりとした性格です。小林誠司捕手も穏やかな性格であると思います。そんな捕手陣の様子を見て危機感を抱いているのは、阿部監督だと思います。今年3人の捕手を併用したのは、競争心を煽るためだったのだと思いますが、なんだかそれぞれが満足していしまっているように見えます。常時出場を求めてFA宣言をした甲斐捕手とは、競争心が全く違い、常に競争を求めている阿部監督には、甲斐捕手はチーム強化のためにとても必要なピースなのではないでしょうか?
阿部監督は常に競争を求めており、セカンドで安泰となりそうな吉川尚輝選手や、ポジションを取りかけている門脇誠選手に強烈な競争相手となる浦田俊輔をドラフト2位で獲得したことにも、それは現れていると思います。
大山悠輔選手の必要性
大山悠輔選手も同じ様に、ジャイアンツに競争をもたらす選手です。もし獲得できれば、大城卓三捕手や坂本勇人選手は、かなり難しい立場に追い込まれることになるでしょう。岡本和真選手のレフトへのコンバートも、当然必要となるでしょう。今年のジャイアンツのレフトの選手と大山悠輔選手の打力を考えれば、当然必要な戦力です。
岡本和真選手のメジャー移籍
メジャーへの流出が噂される岡本和真選手が、本気でメジャーを目指すのであれば、レフトにコンバートされる事はプラスでしかありません。メジャーのファーストとサードを日本人で目指すのは非常に難しく、肩の強さなどの守備力が見劣りすることは間違いありません。打力では岡本和真選手よりも上と見られるレッドソックスの吉田正尚選手でさえ、レフトのポジションを完全に取ることができていません。パワーではメジャーリーガーに追いついてきた岡本選手ですが、肩と走力では見劣りがします。MLBをみていると強打を誇る外野手は、殆どが素晴らしい守備力を持っていることがわかります。ジャッジ選手、ベッツ選手などは別格としても、その他にも次々と名前があがってきます。そんな中で岡本選手が評価されるためには、レフトの本職として確かな守備力をみせる必要があります。場合によってはレフトとしての守備力の強化が、メジャー移籍のための大きな武器になる可能性も高く、岡本選手自身がコンバートを前向きに捉えるかもしれません。
今年の巨人のオフの戦力強化について
FAについては個人的に頷ける方向であり、ドラフトの指名についても、個人的にとても好ましい指名でした。投手についてもFAなどではなく、若手投手陣の底上げで菅野智之投手の後を埋めようとする考えが見られ、ドラフトを野手指名に比重を増したことで、投手の育成について実績に裏打ちされた自信が球団としてあるのではないかと思われます。ただそれでも左投手の不足は否めず、そこを埋めにいったのも良い方向性だと感じています。