日本の経済が漸く回りだしました。今までの日本はとにかく現状で辛抱する状態に、政治も経済も置かれていました。サラリーマンのみなさんもできるだけ長く同じ職場にいるといろいろと有利に働くことが多く、できるだけ現状で頑張ることが美徳とされてきました。しかし、そういった考え方は変える必要が出てきたと思います。
経済の転換期
デフレが終りを迎えインフレになれば、今までの考え方は大きく変えざるを得ません。今までの日本は会社も従業員も、じっと耐える事を繰り返してきました。給料は上がらず、価格も上げられず、停滞していた経済だったと言えます。本当はとっくに寿命が尽きている企業も、デフレ下の中で生き残ってこられたのが日本経済です。その代わり大きく成長することができる企業はその成長力を発揮できませんでした。企業がその間に行ってきたことは、徹底したコストカットです。コストカットが悪いことだとは言いませんが、成長すること無しでコストカットに励むことは、一種のタコ足配当だと思います。こうして日本経済は、企業も従業員も我慢比べをしていて、本来の経済の成長力を抑制してきたといえます。
その原因は数多くあると思いますが、その中でも大きなものは、企業が成長曲線を描けない経営者達によって運営されるようになったからでしょう。イノベーションが起きなかったというのは綺麗事で、イノベーションを起こそうとした人たちを年寄り達が潰してきたというのが、正しいのではないでしょうか。
日本で一番お金を持っているのは、大企業と金融機関です。しかし彼らはバブルの悪い経験から、リスクを取ることができなくなってしまいました。金融機関は本来の目的である企業の育成に関わることから逃げてしまいました。大企業は稼いだ利益で新規投資をしなければいけないのに、内部に溜め込んでいます。本来新規事業に稼いだ利益を投資することが経営者の使命なのに、お金を守ることに長けた番頭さんが社長さんになってしまったと言い換えても良いかもしれません。
結果寿命が尽きた製品をコストカットすることで生命維持を行い、事業の転換ができないまま成長できない企業が増え続けました。これに気がついて経営陣の無能さを指摘してくれたのは、残念ながら日本人ではなく外国人投資家でした。
ゾンビ企業は淘汰される世の中
漸く経済本来の動きが活発になった中で、企業の倒産が増え始めているようです。2%程度のインフレに耐えられないような企業は、業態を転換する必要があります。そもそも製品の寿命は食料や一部の工芸品や美術品を除いては、必ず限りがあります。そのため企業が存続していくためには、経営を多角化しながら業態を変換するか、事業売却を行うかをしなければなりません。ある製品が成熟期になり過当競争になった時点で、経営者は次のことを考えなければなりません。同じ製品を足元を見ながら作り続けて良いのは、ベテラン従業員だけだと思います。
そうやって多角化経営や事業売却に成功すれば、企業は存続できる可能性が広がり、従業員も新たなスキルを身に着けて、給料があがっていくというのが資本主義経済の中で生き残る術だと思います。
これからこそが転職の時代
これから経済は動き出します。動くまでは遅いですが、動き出すと急加速するのが日本経済だと思います。企業の淘汰と新規産業の成長はこれから激しく進むと思います。これからの経営者は変化を恐れない経営者が増えていくでしょう。そして労働者は一箇所でとどまっていられることは少なくなるでしょう。衰退産業で企業とともに落ちていくのではなく、登り坂の産業や製品に乗ることが必要だと思います。どんなに経営者や従業員が努力しても、インフレの社会の中では生きていけません。デフレ経済が終わった先には、動かない経営は置いていかれてしまいます。
今まで日本の社会は一つのことに邁進することを美徳としてきていましたが、インフレ経済ではよほど運が良くなければ、難しくなるでしょう。
”努力は過大評価され、判断は過小評価される。”というのが、デフレ経済下の日本社会でした。しかし、これからは正しく判断したうえでの努力が求められると思います。ただ足元を見つめて毎日努力するのでは、これからの社会では報われないことが多くなると思います。
勉強が必要な時代
努力は勉強ができなくてもできますが、判断は勉強が必要です。情報を取りその情報を分析しなければ、正しい判断はできません。情報は今は溢れている時代です。しかし有益な情報を集めて分析・判断するためには勉強が必要です。
何をするのも、適切な考えが必要な時代です。
残念ながら学校ではそのあたりを充分には教えてはくれません。
義務教育ではそこまではたどり着けません。
勉強は義務教育が終わってからが本番と言っていいでしょう。
これからはそういう時代です。大学に入学すれば終わりという一部の文系大学生にありがちな考え方は、もう通用しないと思います。そして老人たちはこういった事を理解したがりません。
どんなに理想を老人が言っても、格差が広がる資本主義社会の日本では、若者たちは考えて判断していかなければ、取り残されてしまいます。そしてそのスピードを加速しようとしているのが、今の日本です。