来週のスーパーワイルドカードでレイブンズと戦いたくないチャージャースは、勝利への意欲が衰えること無く、順当に格下のレイダースを下しました。レイダースはこれで4勝13敗となり、ドラフト順は全体6位となりました。
QBの残酷なまでの差
チャージャースのQBジャスティン・ハーバートは、エリートQBとしての実力をまざまざと見せつけてくれました。これでシーズン通して3INTで終わるという抜群の安定感を見せつけ、それでいて勝負所では身体能力の高さを見せつけてTDや2PTを奪うなど、格の違いを見せてくれたと言っていいでしょう。特にプレーが崩れたときの粘りと勝負強さは、トップQBのそれと言っていいでしょう。
レイダースのQBエイダン・オコンネルも頑張ってくれましたが、体の強さや、走力などでかなりの差があり、2025年シーズンをQBオコンネルで勝ち続けることは難しいのではと予想させる出来だったと思います。
特にQBオコンネルがスクランブルに出たときに、怪我のリスクの高さを感じさせたのに対し、QBハーバートは走力の高さと体の強さを感じさせ、改めてエリートQBの必要性を感じさせたと思います。
2025年ドラフトの展望
レイダースは全体6位まで指名順が落ちてしまったので、マイアミ大学のQBカム・ウォードとコロラド大学のQBシュドア・サンダースの指名は厳しくなったと考えられています。既にアメリカの予想サイトでは、全体3位までにQB二人が指名されると予想されており、現実的にはレイダースの指名は無くなったと言っていいでしょう。
ただ、この二人のQBが前年1巡で指名されたQBたちと比べてどうなのかと考えたときに、2024年組ほどレベルが高くないのではという考え方もあり、QBサンダースがレイダースの指名順位まで落ちてくる可能性もないとは言えない状況だと思います。
15週目まではレイダースが全体1位を確保するのではと見られていたドラフトですが、タンキングの影も見せずに2連勝したことや、その後ジャイアンツが勝利したことは、何が何でもトップ2のQBを取りに行く気がないのではという状況を臭わせました。
逆に言えば全体1位をレイダースが獲得したときに、QBサンダースを指名せざるを得ない状況となり、全体1位の称号を手に入れたQBサンダースが大成できるかどうかに疑問符がついていたと邪推できるともいえます。
レイダースは1巡でのQB指名はことごとく失敗しており、リスクの大きさから今回も1巡でのQB指名を躊躇っていたと考えることは十分にできます。
実際に、QBサンダースが今年活躍しているコマンダースのQBジェイデン・ダニエルと同等の活躍を大学でしたかといえば、肯定するのは難しく、大学の時の能力を比較すれば、QBサンダースの能力に疑問符がつくのは、否定できないと思います。
さらに全体1位で指名されたQBサンダースは、父親のディオン・サンダースの威光もあり、大スターとしてNFL入りすることとなり、そのプレッシャーたるや相当のものがあると思います。スター候補のQBがその種のプレッシャーに押しつぶされる可能性が、決して低くないのは、パンサーズのQBブライス・ヤングやベアーズのQBケイレブ・ウイリアムズの現状に照らし合わせてもわかることだと思います。
ラスベガスというアメリカでも特別な地で、QBサンダースが全体1位で輝くためには、人並み外れた努力と精神力が必要となるはずであり、そのあたりをレイダースの首脳陣が考慮していないことは無いと思います。
HCをどうするかが喫緊の課題
プレイオフ争いから早々と脱落したレイダースは、早急に首脳陣を固めなければなりません。HCアントニオ・ピアースの続投の可能性は極めて低いと言われており、HCとOCは交代が必須でしょう。DCとして成績を残したパトリック・グラハムには是非残ってもらいたいところですが、これも流動的で、残る可能性はかなり低いと思います。(HCピアース続投の可能性がゲーム後強まったようです。)
HCに就任する際に次のQBをどうするかは極めて重要なファクターであり、現時点でドラフトでの主導権が握れないレイダースは、HCとの契約でもかなり後手を踏む可能性が強いと思います。あまり評価の高くなかったオレゴン大学のQBボー・ニクスを上手に使いきった、ブロンコスのHCショーン・ペイトンがとてもいい例だと思います。
トップ2のQB以外で、来年のスターターを務められるQBがドラフト候補には見当たらない現状であり、FAに活路を見出すとなると、これもまた選択肢が少なく、レイダースの置かれている現状は、極めて判断が難しい状況だと思います。
いずれにしろレイダースの2025年シーズンは既に始まっており、ここ数週間で大きな動きが見られるはずだと思います。
特にオーナーの一人としてトム・ブレイディが加わったレイダースの動きは、興味が尽きない状況です。
これだからNFLファンはやめられないのでしょう。