鉄壁の二遊間が故障と死球で崩れてしまい、ジャイアンツは大きな試練を迎えました。今年のジャイアンツの二遊間のパフォーマンスは素晴らしいもので、序盤を接戦で制してきた大きな要因の1つでした。
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ジャイアンツの野球といえば本塁打で打ち勝つ野球をイメージしますが、実際は少ない得点を守り勝つ野球です。チーム打率は.246でセ・リーグ4位、防御率は3.23で3位と飛び抜けていないにも関わらず、5月6日時点で首位に立っていられるのは、勝ちパターンのリリーフ陣の健闘と、守りの堅さによるものといえます。昨年よりも失策数が多い傾向にはなっているものの、坂本選手と吉川選手の守備能力は抜群でコンビネーションも素晴らしく、華麗な併殺などで投手陣に対してはとても大きな支えになっていたと思います。また、ライトのポランコ選手とレフトのウォーカー選手は守備が緩慢であり、肩も強くないため坂本選手と吉川選手がカバーしているケースが多くなっていました。その守りの要の二人が同時にいなくなってしまったので、投手陣にかける負担はとても大きくなってしまっていると考えられます。
打撃でも中心の坂本選手と吉川選手
守りの要の二人が攻撃でも中心でした。吉川選手は打率.341でセ・リーグの2位です。坂本選手は打率.283で12位です。現在のジャイアンツでは次の高打率の選手は16位の丸佳浩選手が打率.258、岡本和真選手が18位で打率.256です。岡本選手は本塁打と打点で貢献をしていますが、4番が打率.256は低すぎます。丸選手も.258と低く、クリーンナップを担うポランコ選手が打率.242でクリーンナップの打率が低すぎます。これだけ打てない選手が中軸では、相手投手に対するプレッシャーをかけることができません。特に打力優先のポジションの選手が現状の成績では、優勝できるチームの選手構成ではありません。
吉川選手の成長を裏付けるデータ
好調を続ける吉川選手の打撃ですが、昨年と大きく変わったデータがあります。昨年のツーストライク後の吉川選手の打率は165打数31安打で.187でした。しかし今年は74打数で23安打と打率は.311を記録しています。この成長は極めて大きく、1番バッターとしては理想的な数字です。出塁率も.313から.401に急上昇しています。これだけの数字を記録でき、守りの要のセカンドを高いレベルで担うことが出来る現在の吉川選手は、現状ではセ・リーグNO1のセカンドと言ってもいいと思います。
大人扱いをしていい選手と首脳陣の責任
プロ野球のチームなので全員が成人ですが、プレーの成熟度とは別の話です。坂本選手や吉川選手は二遊間の選手で、チームのことを攻守に渡って見ることが出来る大人の選手です。バッテリーのサインを見ることも出来る二遊間の選手は、キャッチャーを除く他のポジションの選手とはゲームを見る目に大きな差があります。逆に言えば経験を積んだ二遊間の選手と経験のない選手、チーム全体を見ることの出来る二遊間の選手と自分のことで精一杯の選手との差は大きなものがあります。坂本選手と吉川選手がラインナップされているときは、首脳陣の負担はいろいろな場面で軽くなります。逆に言えば経験の少ない、または習熟度の低い選手を二遊間で使っている場合は、首脳陣の負担は大きくなると思います。今の首脳陣で、若い二遊間に細かい指示を出している首脳陣はいるのでしょうか?試合後に結果に対してコメントを出すことは誰にでもできますが、プレーの前に細かい指示をしてあげなければ、選手の成長は多くを望めません。
現状は坂本選手も吉川選手もベンチには不在で、代わった若手に細かい指示を出すことができません。今は首脳陣が手取り足取り攻守にわたって、指示を出す必要があるのではないでしょうか。
若手の選手はチャンスでもあり頑張り時ですが、首脳陣は別の意味で頑張り時です。二遊間に対する細かい指示を誰が担うのでしょうか?