ファンの望む野球とはなにか ジャイアンツ強化戦略迷走 理想形の打線

ジャイアンツは開幕から負けが混んでいます。メディアや解説者は不調という言葉でくくることが多いのですが、もう2年半ぐらい不調が続いていることになります。さらに言えば、坂本勇人選手や丸佳浩選手らの中心打者、絶対エースだった菅野智之投手は加齢により全盛期を過ぎていることは間違いなく、彼らに代わる選手が台頭してきていない現状は、確実に最後に優勝したシーズンと比べてチーム力が落ちていると評価するべきだと思います。

過去二年間はFAによる強化が不発で、ドラフトによる強化も不十分。若手の台頭は少なく、外国人もレギュラーになりきれない選手ばかりで、これではチーム力が上がることはないでしょう。

そもそも原監督はじめ球団幹部は、どの様なチームを目指してチームを編成しているのでしょうか。

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長嶋監督時代の重量打線

ジャイアンツは東京ドームを本拠地としており、ホームランが出やすい球場のため、長打力を売りにした重量打線が持ち味でした。かつてFAなどで長距離打者を集めた打線は、各チームの4番打者を並べた打線で、夢のような打線でした。

ただその夢のような打線がファンを喜ばせたのは、最初だけではないでしょうか。ホームラン頼みでスピードに欠ける野球は、野球盤のゲームのようで、退屈な時間が続きます。派手なホームランが連発すれば観客はわきますが、それも一瞬の出来事で、退屈な時間が続いてしまいます。

確かに長嶋監督が実現した重量打線は、夢のような打線でエキサイティングでしたが、実現してしまえばそれは夢ではなくなり、スピードに欠けた野球、打つだけの淡白な野球になってしまったと思います。

ジャイアンツの目指すべき最強打線

ジャイアンツの人気が高かった頃は、クリンナップに三冠王を目指せるだけのスターがいて、1,2番に俊足の野球の上手い選手がいる打線の時代でした。

柴田、高田、王、長嶋のV9時代。

仁志、清水、高橋由伸、松井の時代。

松本、篠塚、クロマティ、原なんていう時代も、見ていてワクワクする時代でした。

故・野村克也さんが、終盤1点差で「先頭が松本ってだけで、相手チームはピンチなんですよ。」と解説していた頃は、ジャイアンツの逆転が見られるのではないかと興奮しました。負けている終盤でONに打順が回って来る時は、必ず逆転がされるような不思議な予定感みたいなものがありました。

逆指名やFAが機能していた頃は、重量打線を作ることができましたが、今ははっきり言って無理です。また、そんなスピードに欠ける淡白な野球を、ファンは望んでいないと思います。

原監督の理想の打線が見えない

プロ野球なのですからファンが喜ぶ野球をしなければなりません。当然勝つということは大きな目標ではありますが、ファンを喜ばせることも重要なファクターです。

どうもこのあたりを球団も原監督も、ホームランに重きを置きすぎて考えているのではないでしょうか。もちろんクリーンナップの長打力は、野球の華の一つです。しかし、盗塁やエンドランなどの小技、二遊間のダブルプレーもプロ野球の見せ所です。あまりにもすべての打者に長打力を求め過ぎなのではないでしょうか。

吉川尚輝選手は3番ではなく1番で

例えば吉川尚輝選手は、長打も打てる二塁手ですが、守備と脚が魅力の選手です。こういった貴重な選手を3番で起用して、バッティングの調子を崩させる事には疑問を持ってしまいます。吉川選手には積極打法も求めているようですが、それは長打を求めているからではないでしょうか。個人的には脚のある吉川選手は、盗塁王を目指すべく、兎に角、出塁を心がけてもらいたいと思っています。篠塚さん程にはなれなくても、アライバを目指す選手でいいと思うのです。藤川球児さんが最も嫌だった選手としている中日黄金期のアライバコンビは、今のジャイアンツではレギュラーにはなれないのでしょうか。

長打がなくても、俊足と出塁率の吉川尚輝選手、いぶし銀の坂本勇人選手で、素晴らしい1・2番、最高の二遊間だと思うのですが・・・

MLBも人気復活のために盗塁を重視

今年大幅なルール改正があったMLBで、最も影響が大きいのはベースが大きくなり、牽制が制限されたことでしょう。この事によってMLBでは盗塁が倍以上増えているようです。MLBのルール改正は選手目線ではなく、ファン目線で行われています。ファンに見放されてしまっては、興行が成り立たないからです。MLBでは人気面でフットボールとバスケットボールに後塵を拝している現状が、積極的な改革につながっているといえます。

日本ではプロ野球以外のプロスポーツの発展が遅れているので、ファン目線での改革が遅れています。

フライボール革命で単純化してしまった野球を、もう一度スピードのあるエキサイティングなものにしたいという目的が、今回のルール改正にはっきりと見て取れます。

ホームランだけでは観客は飽きてしまうのです。

ジャイアンツのチーム強化戦略の見直しを

理想のチームの青写真が、今は見えない状況です。もしかつての重量打線を目指しているならば、それは退屈な野球になってしまいかねません。

今回MLBが何を目指してルール改正をしたのか、ジャイアンツのみならず、すべての球団に考えてもらいたいと思います。

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