高校野球が金属バットを規制 正しい方向に進む どの様な影響が?

飛び過ぎが指摘されていた、金属バットの規制が変わることが発表されました。経済的側面等から木製バットを使わず、金属バットを使っていた高校野球が、大きく変わります。実際にどの様に変わるのか考えてみたいと思います。

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金属バット変更の詳細

日本高野連の11月18日の発表によれば、事故防止の目的のために、金属バットの新基準を現行の最大直径を67ミリ未満から64ミリ未満に、打球部の素材の厚さを約4ミリから約3ミリに変更するとしました。簡単に言ってしまえば、バットを細く肉厚にすることによって強度を保ったまま、打球面の反発係数を抑えるということだと思います。

ゴルフのドライバーについては2008年に反発係数の規制が定められており、ゴルフと同様に行き過ぎた技術の発展を抑えた形になりました。

高校野球についてはかなり前から、金属バットの危険性については指摘されており、やっと規制されたという感があります。

飛ばなくなる打球

今までの金属バットは木製バットに比べて20m余計に飛ぶと言われていましたが、この規制によって10mに抑えられると見られているようです。投手への危険なライナーが確実に減るということで、今回の規制は理にかなった規制だと思います。甲子園で異常なほどまでに飛ぶ打球を見てきましたが、それが少し軽減されることtなり、高校野球の質が少し変わってくるかもしれません。

パワー全盛の野球が変わる?

金属バットの導入以来、高校野球は大きく変わりました。1974年に導入された金属バットですが、金属バットによる攻撃野球を本格的な流れにしたのは原辰徳さんを擁する東海大相模だと思います。東海大相模の強力打線は、それまでの投手中心の高校野球のイメージを一新するものでした。そして金属バットによって練習方法まで変えてきたのが、1982年の池田高校だと思います。後にジャイアンツに進む水野雄仁さんに代表される池田高校の選手は、ウェートトレーニングによって鍛え上げた体で金属バットを振り回し、細かい野球とは無縁と思えるほどの攻撃野球で、甲子園を席巻しました。

その頃から現在に至るまで、基本的には攻撃野球全盛の高校野球の流れは変わっていないと思います。トレーニング方法の発達によって、選手は大型化し、パワーは増しています。投手の方もパワーピッチャーが増え、力勝負の高校野球の図式は変わっていないと思います。

ただ、今回の規制によって高校野球が大きく変わるかと言えば、余り期待できないと思います。多少の飛距離の減少はあるかもしれませんが、当たれば飛ぶという金属バットの木製バットに対する優位性は変わらないと思います。

バットの芯は広くなる?

今回の新基準で反発係数が抑えられるとは思いますが、金属バットの優位性は反発係数だけではないと思います。金属バットでは多少芯を外しても打球が飛んでいくという特性があります。それは金属の反発係数が優れており、折れないという特性の他に、芯が広いという特性が大きいと思います。多少芯から外れてもパワーで内野の頭を超える打球は、バッティング自体を変えてしまいました。金属バットになれた高校生がプロ入り後に悩むのは、木製バットの芯の狭さだというのはよく言われることです。

では、今度の新基準で金属バットの芯は広くなるのでしょうか?

金属バットも木製バットも真芯は1点しかないと思います。しかし真芯以外でもある程度飛んでいく部分が金属の場合広くなる傾向にあります。これはバットとボールが当たった時に起こる定常波の波が、金属の場合は振幅が小さいことによると推測します。この特性は変わらず、今回の新基準はこの振幅の幅を更に小さくするのではないかと個人的に予測します。つまり以前よりも根っこや先端にあたっても、ある程度木製バットよりも飛ぶことになります。

となると以前よりも更に芯に当てる技術よりも、多少芯を外してもパワーで振り切ることを目指してしまうのではないかということです。

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打者の技術は衰えパワー全盛が加速する?

もし私の仮説が正しければ、投手の安全のために、打者の技術を落としてますますパワー全盛の高校野球になってしまうのではないかと、飽くまでも個人的に危惧します。多少芯を外しても、多少ボールに食い込まれても、金属バットの特性を活かして内野の頭を超えていく打球が増えれば、勝つためには技術よりもパワーへの流れは変わらないのではないかと思うのです。

24年から導入ですので、24年大会はホームランが減ることとはなると思います。しかし数年後には芯を外しても、タイミングがズレても強引に振り切ることで勝っていく野球が増えてしまえば、日本の野球の衰退が始まってしまうのではないかと、危惧してしまいます。

今回の報道では反発係数を抑えることだけに議論が終止しているようですが、芯の広さについて議論がされていないことに、すこしガッカリしました。もしかしたら議論はされているが、報道がされていないケースも考えられます。

どうか杞憂に終わりますように・・・

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