今年の全米女子オープンでは、残念ながらまたしても畑岡奈紗選手が優勝を逃してしまいました。3日目まではトップにいたのですが、最終日のバックナインで突き放されてしまいました。実力は折り紙付きの畑岡選手なので、また来年が楽しみです。
ゴルフドゥ!オンラインショップJLPGAの改革姿勢は素晴らしい
ペブルビーチで行われた全米女子オープン選手権で、日本人選手はなんと22人も参加することができました。これは選手たちの努力もさることながら、JLPGAの改革などが功を奏している結果だと思います。色々と試行錯誤の中で改革を続ける中で、当然失敗もあります。批判に晒せれることも多いでしょう。変わることを嫌がる既得権益にしがみつく輩を切ることは、大変な努力が必要だと思います。
放映権の問題などは、まだ改善途上ではあると思いますが、少なくともプロ野球などと比べて機動的に動いていると思います。4日間トーナメントが増えて、海外メジャーに立ち向かえる全種の絶対数が増えたことは、確実に女子ゴルフ界の成長を下支えしていると思います。
日本人選手は何故海外で弱いのか
以前は日本国内ツアーはメジャー以外は4日間大会が少なく、海外で活躍できない理由の一つとされていましたが、現在は4日間大会を大幅に増やしており、ここにもJLPGAの改革姿勢を見ることができます。
しかし今回の全米女子オープンでは日本人選手22人中、11人が予選落ちしてしまっています。同じ22人が参加した韓国勢は14人が予選を通過しており、成績も日本勢よりも全体的に上です。日本ではあれほど良いショットを連発する日本人女子プロですが、2日間を終わってアンダーで廻ったのは畑岡選手のみで、イーブンも古江彩佳選手のみでした。韓国勢は4人がイーブン以下で廻っており、ここでも実力差が見られます。
何故、海外では日本勢は弱いのでしょうか。
日本食は海外では食べられない
日本食は今や世界中のどこでも人気があり、日本食を海外で食べるのには苦労しないと思っている方が多いと思いますが、実際は少し違います。
ニューヨークやロサンゼルスであれば、日本食レストランは沢山あります。ただ、日本人の口に合う美味しいレストランは限られています。しかもかなり高級なレストランを予約しなければ、本当に美味しいレストランで食事はできません。
私はニューヨークに駐在経験がありますが、当時の日本食は庶民的なレストランのランチでもとても高額で、夕食は毎日利用できるレベルではありませんでした。本当に美味しいレストランは超高額なので、プライベートでは使えません。そして安めの日本食は、アメリカ人仕様に作られていることが多く、とてもではありませんが毎日食べる気にはなれませんでした。少し安めのイタリアンや中華のほうが、食べることができたほどです。
大都市でさえそんな状況なので、ゴルフ場があるような地域で美味しい日本食にありつくことはとても難しくなります。
そして限られた日本食レストランには、日本人が殺到します。わたしも米国でたまたま出張中に男子ツアーと重なった時に、丸山茂樹選手と今田竜二選手(多分間違いない・・・)が予選終了後に同じレストランで鉢合わせしていたことを記憶しています。当時その辺りにはまぁまぁ食べられる日本食レストランが2つしか無いと言われていたので、必然の出来事と言えます。
今回の全米女子オープンが行われたペブルビーチゴルフリンクスはサンフランシスコから100マイル以上、ロスアンゼルスから300マイル以上離れており、大都市のような日本食レストランの質と量を確保できるとは思えません。
もし数店有ったとしても、少ないレストランに22人の選手が押しかけるようになれば、選手たちも落ち着いて食事が取れるとは思えません。
4日間の大会で食事は大きなファクターであり、ローカルフードで全く問題がない選手、または米国での食事に対して十分な対策ができている選手以外は、コンディションを作ることに大変苦労するはずです。
追い焚きのできないバスタブ
気温も11~15℃だったようで、リンクス特有の風で体感温度は更に低かったと思います。そうなれば温かい風呂と、温かい日本食が翌日の活力となる筈ですが、追い焚きの効かないバスタブとローカルフードでは、コンディションの維持さえ難しかったのではないでしょうか。ホテルにもよりますが、熱い湯が長く続かないホテルも普通にあるので、選手によっては辛かったと思います。
硬いフェアウェイと重たいラフ
パワーのない日本人は、深いラフに入ると大事故になりがちです。また硬いフェアウェイに慣れていない日本人には、フラットにアイアンを打つ選手が多く、畑岡選手のように縦に打てない選手は、極端にパフォーマンスが下がりがちです。
同じ週に日本国内女子ツアーは北海道で、ミネベアミツミレディースが開催されていました。最終日最終組が3人共北海道出身の選手になっていて、北海道特有のフェアウェイに対応できる選手とできない選手を浮き彫りにした結果となっていました。
やはりアイアンがダウンブローに打てない選手は、海外ではこれからも特定のコース以外では良い成績を残すことが難しいのではないかと思います。