オリックスの投手陣を打ち崩せずに、今年は日本一を逃したヤクルトスワローズ。高津監督の涙が印象的でしたが、この敗戦でますますヤクルトは、強くなりそうです。ジャイアンツをはじめとするセ・リーグ各球団は、もし去年のヤクルトを念頭に来シーズンに臨めば、全くヤクルトに歯が立たずに、セ・リーグ三連覇を許すことになってしまうかもしれません。
d払いポイントGETモールオリックス投手陣VSヤクルト打線
今年の日本シリーズは強力ヤクルト打線が、オリックスの投手陣をどう打ち崩すかにスポットライトがあたっていました。特に令和初の三冠王の村上宗隆選手を、オリックス投手陣がどう抑えるかが注目されましたが、結果はオリックス投手陣に軍配が上がった形になりました。セ・リーグの戦いの中ではあれほど猛威を振るったヤクルト打線ですが、なぜオリックス打線を打ち崩せなかったのでしょうか。
短期決戦では投手力が重要
日本シリーズのような短期決戦では、投手力がとても重要になります。レギュラーシーズンとは違い、終りが見えている中の戦いでは、投手陣は全力を出して打線を封じ込めにいきます。先発投手陣も登板間隔を詰めてローテーションを組みますので、レベルの高い先発陣を打線は打ち崩さなければなりません。昭和の日本シリーズは、2枚看板の先発投手がいれば、4勝することが可能で、実際に2枚エースのチームや絶対エースが1・4・7戦に先発することもあったと記憶しています。
また、救援陣も最後ということで、全力投球が続き、160Km近いストレートを連発していました。あれだけのストレートと落ち玉を使われることは、セ・リーグでは殆どなく、村上選手もアジャストできる前にシリーズが終わってしまったのではないでしょうか。
パ・リーグの投手のレベルアップが実感できた日本シリーズ
今年のレギュラーシーズンでパ・リーグでの3割打者は、日本ハムの松本剛選手とオリックスの吉田正尚選手の二人だけでした。本塁打も西武の山川穂高選手が41本で2位は楽天の浅村栄斗選手の27本です。セ・リーグでも3割打者は4人と少なめでしたが、パ・リーグの投高打低は顕著でした。その答え合わせが、この日本シリーズで出来たのではないでしょうか。
最近の投手は、トラックマンの普及などにより動作解析が進んでいます。フィジカルトレーニングによる基礎体力の増強とマッチさせる中で、投手の球威は格段に上がっています。MLBの投手を見ても、先発投手でも160Km近いフォーシームを、難なくコントロールよく連発しています。リリーフ投手に関しては、いつでも160Kmを出せる状況で、ワールドシリーズでは例外なく投手戦になっています。
日頃セ・リーグの野球を多く見る私には、オリックスのリリーバーは短期決戦とはいえ、見たことがないレベルの投手が揃っていました。いかに強力なヤクルト打線と言えども、少ない対戦数の中で攻略することは難しく、相手投手がバテてくるの待つ他ない印象でした。
来年の村上宗隆選手とヤクルト打線
セ・リーグでは敵なしだった村上選手ですが、オリックス投手陣のストレートに力負けしてしまいました。当然来期の村上選手は、オリックス投手陣の160kmのストレートを打ち砕く様な、レベルアップを目指していくものと思われます。若い村上選手がさらなるレベルアップを目指して研鑽を続ければ、恐ろしい怪物が出来上がるかもしれません。今のままでも抑えきれなかったセ・リーグの投手陣は、来年どれだけレベルアップをすれば、村上選手とヤクルト打線を抑えられるのでしょうか。
ジャイアンツ投手陣の目線
ジャイアンツの投手陣では、150Km をコンスタントにコントロール良く投げられる投手はいません。”球速よりもキレが大切”などとコメントする投手もいますが、今はもう時代が進んでしまっています。少なくともリリーフ投手で150Km程度の球速では、勝ちパターンの投手とはいえないでしょう。もしジャイアンツの投手陣の目線が上がっていないならば、日本シリーズで目線が上がっている村上選手とヤクルト打線を、抑えることは難しいでしょう。若い選手が多いチームが目線高く研鑽を続ければ、ベテランの多いチームが勝つことは難しいのではないでしょうか。
ジャイアンツの首脳陣は、この日本シリーズやワールドシリーズのレベルを見て、どのレベルの目線で秋季キャンプを迎えているのでしょうか。
益々差が開いてしまうようなことが、起こり得るヤクルトの敗戦だったと思います。
来年期待される岡本和真選手
ジャイアンツのレギュラーで、大きなレベルアップが期待できる若さを持っているのは、岡本和真選手しかいないと思います。年下の村上宗隆選手に大きく実績で差をつけられたのは、とても悔しいと思います。しかし目線を昨年の村上選手に置いていたら、来年はもっと差をつけられかねません。
親交のある吉田正尚選手が目線高く努力を続けて、日本で圧倒的な実績を残し、MLBを目指して夢を実現しようとしている時に、スケールでは上を行く岡本和真選手は、どこを見つめているのかがとても気になります。果たして今のジャイアンツに岡本選手を導ける指導者や先輩は、存在するのでしょうか。