賛否両論 プロ野球のファウル打ちについての個人的意見 カッコ悪い

プロ野球で時折小兵選手が見せる、ファウル打ち。見方によっては自分にできることを精一杯やるプロフェッショナルの技と、見ることができるかもしれません。しかし、一方ではカット打ちで相手投手に球数を投げさせるのは、卑怯なやり方と見る向きもあるようです。ここでは個人的な意見を書かせてもらいたいと思います。

重ねて言いますが、賛否両論あること、それぞれの意見に正当性があることは、十分に理解したうえでのことです。

時と場合、更には程度による

試合開始からトップバッターが20球粘ったら、それはもう見る価値のない技だと思います。3人のバッターが20球ずつ粘れば、初回に60球を要することになり、このペースで行けば先発投手は2回で交代です。こんなことになれば、プロ野球は存続できません。誰も球場に来なくなるし、中継も価値のないものになります。

こう考えれば、基本的には許されるものではないということでしょう。

では1点差の9回で守護神に対して実施した場合は、正当化されるでしょうか?私はこれも否定します。シーズン途中で守護神が1回のセーブのために、60球も使っていたら、中二日は投げられないでしょう?

そう考えると、基本的には20球もファウルで粘ることを前提に、野球のルールは考えられていません。もしこんな戦略が正当化されれば、ルールを変更しなければなりません。ルールの中であれば何をしてもいいということはありません。プロ野球には6点差以上では盗塁はしてはいけないとか、バントをしてはいけないとか暗黙のルール、アンリトンルールが数多く存在します。

いままでは20球以上も粘る打者がいなかったので、そんなことは考えられていなかったようですが、もしこのように粘る打者が増えれば、アンリトンルールとなるのは必然だと思います。

カット打ちも技術?

前に打ちに行ってファウルになる場合や、狙い球を待っているためにカットをする場合はこの限りにあらずと言っていいでしょう。プロであれば、狙い球が20球も待っているうちに来ない筈はなく、基本的に20球も前に飛ばないのは、前に飛ばさないと考えたほうが良いと思います。ではファウル狙いのカット打ちはプロの技術かと言えば、1軍の選手ならばファウルで逃げることだけを考えれば、20球は難しくないと思います。1軍のレギュラークラスならば、粘るだけならいくらでも粘れると思います。

毎回こんなことを続ければ、初球にデッドボールを食らうことも昭和の時代なら有るでしょう。ただ昭和の時代も平成の時代も、そんなことをする打者はあまりいなかったと言っていいでしょう。潔いプレーとは言えず、かっこいいプレーとは考えにくいと個人的には思います。(なりふり構わぬ姿がかっこいいと考えることも有るでしょう。)

プロ野球は興行

そもそもプロ野球は興行で、お金を払ってみるべきものでなくてはいけません。そしてそれは一部のコアなプロ野球ファンだけではなく、ライトなファンや他競技のファンにさえも魅力あふれるものにしなければなりません。

MLBは現在NFLとNBAに人気面では劣っており、魅力的なゲームになるように、ルール変更をしています。ベースを大きくしたり、牽制の数を制限して盗塁をしやすくしたのは、その現れの一つです。極端なシフトを禁止したのも、ピッチクロックを導入したのも、NFLやNBAのスピード感に負けないための措置と言っていいでしょう。

そんな努力の中で20球もファウルで粘る選手が出てきたら、どうなるでしょうか?牽制をするだけでブーイングが起こるのに、20球もファウルで粘る前にブーイングが起こると予想します。

みんなの努力を無にする行為であり、認められるはずがないと思います。

そもそもかっこいいのか?

プロ野球はファンに夢を与えるスポーツであり、戦争ではありません。ルールの中でならば何をやっても良いわけではありません。

よく簡単に相手選手に対するリスペクトなんて言葉を耳にしますが、20球もファウルで粘って投手の体力をいたずらに消耗させることは、相手投手の不断の努力に対するリスペクトの精神が有るのか疑問に思います。

高校野球でもそんな姿を余り見ることがないのに、魅せることが使命のプロ野球では、あまり褒められたものではないでしょう。

狙い球を絞るためのファウル打ちと、前に飛ばさないこと前提のファウル打ちは大きく違います。

そしてプロであれば前に飛ばすこと前提で20球も粘ることはなく、空振りなり、凡打をしてるはずです。

ファンに夢を与えるプロ野球選手が、相手投手の体力をいたずらに削る行為は、相手投手と相手投手のファンにとってどういった存在となるでしょうか?

そもそも正々堂々という言葉が、前に飛ばさないこと前提のファウル打ちに、当てはまるのでしょうか?

賛否両論が有ることは理解できますが、そんな姿を見せるのがプロ野球であり、新しいファンを獲得できるスポーツなのでしょうか?

少なくともそんな行為はNFLやNBAには存在しません。

ファンサービスを口にするならば、選手もチームも考える必要があると思います。

本当に声援してもらうに値するプレーなのか、熟慮の必要があると思います。

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