ジャイアンツの人気が下がっています。というよりも他球団の人気が上がって、相対的に下がっているということになったのかもしれません。このままジャイアンツは12球団のうちの一つになってしまうのでしょうか?それとも球界の盟主として、その存在価値をたもてるのでしょうか?
巨人はFAで選手が取れない
ここ数年、FAでジャイアンツを選ぶ選手が少なくなっています。2024年も大山悠輔選手等にふられた形になっています。これはジャイアンツの魅力がなくなったというよりも、ジャイアンツへFA移籍しても確実に活躍できる選手が、MLBを目指すようになったということが一番大きな原因ではないでしょうか?FAで移籍する場合は、高年俸で迎えられることになるので、活躍できない場合はプレッシャーが大きくのしかかってしまいます。いつでも3割30本などの成績を残す自信があれば、移籍できると思いますが、そういった選手はMLBに移籍してしまっているのが現状です。これはNPBが相対的に地盤沈下していることの証左にほかならないでしょう?
NPBの不作為
私は何度も書いていますが、この事態を漫然と受け入れてしまっているNPBが問題だと思います。MLBはルール改正なども含めて、変革の足を止めません。何故ならば彼らのライバルは、NPBではなく、NFLやNBAだからです。常にファンを増やすために不断の努力を行っているからこその、現状のMLBの力だと思います。結果、NPBとMLBの力の差は開くばかりです。選手の力の差が縮まっているのに、リーグの力の差が開いていけば、優秀な選手が移動するのは当然のことで、黙って指を加えているNPBを私は理解できません。
ジャイアンツの目指すべき立ち位置
職業野球と言われていた頃に、「巨人軍は紳士たれ。」とした正力松太郎さんの遺訓は余りにも有名です。逆に考えれば、プロ野球選手や球団は、紳士ではなかったということになります。今の選手達は他球団も含めて、ガラが悪い選手は少なくなりました。ただ、ジャイアンツは今でも紳士を目指して行くべきだと思います。
ヒゲや金髪を許可しないのは、時代遅れでは決してありません。そういうドレスコードを持った球団であることを、もっと全面に押し出していってもいいのではないでしょうか?
伝統を守るだけではダメ
ジャイアンツは今年90周年を迎えた伝統の球団です。ただジャイアンツのその伝統は、古いものを守るだけではなく、常に最新のものを取り入れることでもありました。
近代野球の基礎となった、ドジャースに学んだ戦法をいち早く取り入れたのはジャイアンツです。その革新性でV9を成し遂げたと言って良いかもしれません。
日本で最初のスイッチヒッターは柴田勲さんと言われており、ドジャースのモーリー・ウイルスを手本としたようです。
”8時半の男”の宮田征典さんは、クローザーの草分け的存在で、1965年に活躍しています。江夏豊さんがリリーフに転向したのは1977年ですので、かなり進んでいたことになります。
古くても良いものは守るが、新しいものを他球団に先駆けてどんどん取り入れるところに、ジャイアンツの伝統は起因しており、その革新性が強さと人気を支えていたと思います。
最近のジャイアンツ
ここ数年のジャイアンツは革新性では見るべきものがありませんでした。特徴の一つであった資金力もソフトバンクには敵いません。
そのため伝統球団というところを、必要以上に強調する傾向に現在はあると感じます。しかしその伝統は革新性によって、常に変化していかなければなりません。
時代に合わせてヒゲを解禁したり、茶髪を認めてもコアなジャイアンツファンは喜ばないでしょう。ヒゲを禁止することで時代遅れのようなイメージを持ったり、堅苦しさを感じる人達がいることは否定しません。しかし同時に、ヒゲを生やさないことやユニフォームをきちんと切ることに価値を感じる人達もいます。ジャイアンツがジャイアンツらしさを守るためには、このあたりは変えてほしくないと思います。
最新の設備とスカウトの充実
2025年には新しいジャイアンツ球場がオープンします。それに先駆けて選手寮は新築され、練習のための最新機材が導入されています。若手の選手にとって今の練習環境は非常に恵まれており、ジャイアンツ球場での自主トレは非常に効率の良いものになるでしょう。
また、スカウト陣の強化も図られており、成果が出だしています。
故障を抱えての入団や、入団直後の長期離脱が減ってきています。そのため今年のドラフトでは即戦力の投手の指名を、上位では行いませんでした。
阿部監督体制になり、ジャイアンツは生まれ変わろうとしています。
阿部監督はいい意味で、古いものと新しいものの良さを感じ取れる指導者になれる可能性を、二軍監督時代から見せてくれています。
本当の意味で阿部監督の求めるチームになるのは、まだまだ先でしょう。
FAで選手が取れなくても、今季もジャイアンツは楽しみです。
ジャイアンツのブランディング
これはファン獲得のために本当に必要なことだと思います。
”巨人軍は紳士たれ”はブランディングの一つだったと思います。
どのような戦略でどのようなファン層を取り込むのか。
球団の戦略が注目されます。